カテゴリ:試合観戦記( 57 )

今日も試合のお話。

ベティスはスペイン南部のアンダルシア地方・セビリアにあるクラブ。
ホームタウンを同じくするクラブであるセビリアは、ベティスの永遠のライバルです。セビリア市民は、街を流れる川を境界線として、両者のファンに分かれます。


スタメンは予想のとおり。
開始早々、ベティスはホアキン(MF・スペイン代表)を中心に右サイドからマドリー陣内に切り込む。しかも、その内の一回は、エルゲラがホアキンにパスを出してしまうという、かなり手痛いパスミスによるものだった。

しかし、ベティスの武器は右サイドだけではなかった。

ベティスは、左や中央でワンタッチでパスを回し、マドリーの守備を崩しにかかる。
対するマドリーは、ぎりぎりまで我慢して、相手の裏を素早く突くという、余裕のないカウンター攻撃を繰り返していた。

しかし、この作戦が効を奏し、先制したのはマドリーだった。

前半10分、ソラーリが左サイドの突破から中央へ低いクロスを送る。そこでDFを一人背負ったオーウェンがボールを受けて前を向き、さらにもう一枚のDFに挟まれ、体勢を崩しなからもゴールに蹴りこんだ。あの小さい体でのポストプレー(相手から体を張ってボールをキープするプレー)には、意表を突かれた。

ソラーリも、このプレー以外にも試合を通じて良い動きを見せた。久々の先発に、ロベカルとのコンビが冴えてた。

これで勢いのついたマドリーは、カウンターから本来のポゼッションサッカー(パスを繋ぎ、ボールをキープしながら前に進むサッカー)へと移行する事が出来た。
しかし、対するベティスも失点にひるまず、積極的に攻め込む。

c0040315_1250549.jpgただ、ベティスの勢いとは裏腹に、その後前半40分にPA内ゴール正面の間接FKからロベルト・カルロスが追加点を決め、マドリーは前半を2-0で終えた。

後半折り返して、主導権を握ったのもベティスだった。

ベティスの巧みなパスの軌跡をマドリーの選手は総力をあげて追い回す。
その中心は、グラベセン。

ボールや相手を追うことに慣れていないマドリーの選手には、動きに効率の悪さを感じるし、人数をかけてもなかなかボールを奪う事が出来ない。
しかし、グラベセンは無駄のない動きで確実に相手を仕留める。
しかも、奪ったボールを仲間に渡すと、すぐさま前方のスペースへ走りだし、パスを要求するという切り替えの速さには、ただただ驚くばかりだった。

ベティスは多彩なパスワークの甲斐あって、後半15分にエドゥ(MF・スペイン?)のシュートにより1点を返す。
これも、リズムの良いワンタッチパスから、見事にマドリーの守備を崩した成果だった。

しかしマドリーも、そのすぐ後に、ベッカムのFKを相手DFがクリア、それをサムエルがヘディングによりエルゲラに送る。エルゲラは、頭できれいに決めた。
エルゲラはゴール後に客席に駆け寄り、ファンと喜びを分かち合った。
この日のエルゲラは、ゴール以外にも体を張ってベティスの攻撃を阻止し、立ち上がり早々のパスミスを打ち消して余りある活躍ぶりを見せた。

これでスコアは3-1。
最終的にこのまま数字は動かず、マドリーは貴重な勝ち点3を得た。

試合全体を通してみると、ベティスは細かく早いパスを回し、マドリーは長めのパスに対し、皆が走り込むという、対照的なスタイルを見せてたように思えた。
マドリーは悪くはなかったが、得意技をベティスに奪われた感が否めなかったので、ややベティスが優勢に見えた。マドリーが3点とれたのは、内容が上回っていたことによるものではなく、個人技の高さによるものと思われた。

ただ、長いパスによる攻撃の中には、グラベセンやグティ(途中出場)によるロングスルーパスなどがあり、その部分については、狭いスペースにパスを通すマドリーらしさが伺えた。

ブーイングを受けたロナウドは、好機を何度も外すなど、らしくないプレーぶりではあったが、珍しくサイドに開いてクロスを上げるなど、積極的に試合に参加しているように見えた。そして、そんなロナウドの頑張りに答えるように、皆がロナウドに得点期を演出しようと奔走しているように見えた。
私も普段はロナウドの悪口ばかり書いてるが、今日ばかりは少しかわいそうに見えた。

次は、この太めの選手のゴールに期待している。
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今日も試合を見てのお話。

デポルはスペイン北西部、海産物のおいしい海沿いの街・ラコルーニャを本拠地とするチーム。
いわゆる、リーガ4強(マドリー、バルセロナ、バレンシア、デポル)の一角として君臨する強豪です。
しかし、今季は現在10位と、低迷しています。

スタメンは予想どおり。

開始早々、マドリーはデポルに左サイドを攻略され、ゴールを狙われる。
バラバラながらもなんとかデポルを食い止めるマドリー。

しかし前半8分、再び左サイドをえぐられたマドリーは、ファンタジスタ・バレロン(MF・スペイン代表)を中心としたデポルのパス交換により、守備を撹乱される。
そして、マークの外れたセルヒオ(MF・スペイン代表)にクロスをあげられ、ルケ(MF・スペイン代表)に頭で合わせられて失点する。

さらに、そのわずか3分後、三度マドリーは左サイドに侵入を許す。ビクトル(MF・元スペイン代表)はサムエルのマークをはずし、中央へクロスをあげる。そして、中央にいたディエゴ・トリスタン(FW・元スペイン代表)をマークしていたパボンの頭でのクリアが、そのままゴールに入ってしまった。

しかしこのオウンゴールは、パボンがボールに触れなくても、ビクトルのクロスにディエゴ・トリスタンが合わせていただろうと思われるので、いずれにしろ、失点は不可避だったと思われる。

c0040315_1539363.jpgその後マドリーは反撃に転じようとするが、デポルの献身的なプレスからの速攻に苦しめられる。
マドリーもデポルの攻撃を食い止めつつ、攻撃を仕掛けようとするが、デポルの速くて細かいパス回しに、プレスのかけどころがつかめない。

それでもなんとか、グラベセンのボール奪取や、イケルのゴールキックを起点とし、フィーゴ、ブラボ、ポルティージョを中心に、良い攻撃を展開するが、永らく試合から遠ざかっていたポルティージョはフィニッシュを決められない。
頼みのオーウェンも、ジョルジュ・アンドラーデ(DF・ポルトガル代表)、ロメロ(DF・スペイン代表)にしっかりと抑えられていた。
後半折り返すと、マドリーのこの状況は悪化した。

マドリーがボールを持てば、デポルはスペースを支配し、デポルがボールを持てば、マドリーは秩序を失う、といったように、どの場面においても試合の主導権を握っていたのはデポルだった。

ボールを持っても、スペースを消され、足元にしかパスを出せないマドリーは、横や後ろにボールを回すだけで前に進めない。

個々の選手の判断の遅さが、俊敏なデポルの選手にとっては守りやすかった。
デポルの選手は、あえてマドリーにボールを持たせ、隙あらば速攻、という戦術に撤していた。

マドリーはボール支配率ではデポルを上回っていた。
しかし、その数字さえ、デポルの巧みなゲームメイクにコントロールされたものであった。

普通、このようなデポルの戦術は、単調なカウンターになりがちだ。
しかし、デポルは、速攻の過程にバレロン、ビクトル、ディエゴ・トリスタンを中心とした美しいフォーメーションを用いることにより、魅力的なものに変えて見せた。
また、後半にルケに替わり、デポルの象徴・フラン(MF・元スペイン代表)が入ると、ますますデポルは華やいだ。

結果、マドリーは2-0で痛い黒星を喫した。

このような場合、マドリーはどうすればよかったのか。
あくまで私見だが、正攻法としては、最終ラインを上げ下げしながら布陣をコンパクトに保ち、スペースを狭めてボールを奪い合う肉弾戦に挑むのが妥当なのだろう。
しかし、ラインコントロールが出来ず、肉弾戦も苦手なマドリーの選手たちには、これは厳しい。

そこで、ボールを持たれているときは、あの古典的後追い守備で乗り切り、ボールを支配しているときは、ワンタッチでパスを回したり、自慢の技術でボールをキープし、ひたすらボールを奪われないようにすることが得策と考えられる。

スペースにパスを出さないマドリーは、人がいるところにしかパスを出さないので、守る方としては、パスコースを読みやすい。
なので、パスコースを読まれないようにするためには、ボールを受けた選手が素早く判断し、パスを出すことが必要となると考える。

今日の試合で、この素早い判断が一番良く出来ていたのは、後半途中から入ったセラデスだったように見えた。
彼がワンタッチでボールに触れる事により、リズムが生まれていた。

試合の主導権を握られたものの、最後まで積極的な姿勢を崩さなかったため、マドリーに対して失望することはなかった。
確かに優勝は厳しいかもしれない。現に試合後に、得点したルケから「優勝はバルサだ。」と言われてしまった。

でも、私は夢見がちなマドリディスタとして、未だ二冠の夢を見続けている。
今日の試合が一部デビューとなった、右サイドバックのパレンシア(途中出場)は、サイドを切り込む鋭いドリブルをみせてくれた。
このような若き才能が尽きないかぎり、マドリーに勝算が残っているのではと、要領を得ない根拠により、二冠の夢に自信を持っているのだ。
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今日もまた、独断と偏見による試合を見てのお話。


対戦相手のアスレティック・ビルバオは、バスク地方のチーム。バスク地方にはバスク人が多く居住し、独自の文化を持っています。
ビルバオは、そんなバスク地方の象徴であり、バスク独自の文化を守るため、祖父母の代からバスク地方に居住する者以外の入団を許さず、外国人も受け入れない純血主義を貫いています。そのため、ビルバオは「孤高のライオン」と呼ばれています。

このような極端な純血主義は、バスク地方の人々が、フランコ独裁政権下の中央政府により、独自の文化(独自の言語の使用さえも)を禁じられる、厳しい弾圧を受け、苦しめられていたという歴史的経緯によるものと思われます。
そしてこの歴史の闇は、バスク地方のみならず、バルセロナのあるカタルーニャ地方など、スペイン国内の独自の文化を持つすべての地域の人々が共有するものなのです。

このように、サッカーが単なる競技スポーツではなく、国の歴史や文化、社会と密接不可分の関係にある点において、欧州と日本との大きな違いを実感させられます。

ビルバオは現在9位。しかし、デル・オルノ(DF・スペイン代表)、ジェステ(FW・スペイン代表)などの才能を擁し、順位以上の実力を持つチームです。

マドリーのスタメンは、予想と大きく外れ、以下のようになりました。

           カシーリャス

サルガド  エルゲラ    サムエル   R.ブラボ


        ベッカム     グラベセン
 

       フィーゴ        ソラーリ


              グティ

             オーウェン



開始からマドリーは、右サイドから攻撃を展開。フィーゴがボールを持てば、サルガドが上がる、といった具合に、いつもの名コンビ振りを見せた。
右が押さえられると、ベッカムにボールを下げ、グラベセン、ソラーリと経由して、左サイドの攻略を図る。こうして前線に運ばれたボールは、最前線のオーウェンに運ばれるが、そこはビルバオ守備陣が適切に対処する。

だがビルバオも、防戦一方ではなく、中盤から積極的にプレスをかけ、ボールを奪うと素早く攻撃を仕掛ける。
そして、前半16分、オルバイス(MF・スペイン)が、カシーリャスが前に出ているのを見逃さずにハーフウェーライン付近からシュートを打つ。
ボールはバーに当たり、地面を跳ねて外に出た。その際、ゴールラインを割っていたのだが、審判も、ビルバオ側も気付かずに、見逃された。

その後マドリーは、左に流れたオーウェンがクロスを上げ、空いた中央のスペースにグティが飛び込むなど、オーウェンの機転による良い攻撃が展開されたが、ゴールを奪うまでには至らない。
グラベセンの、ボール奪取からパス出しまでの流れるような素早い動きや、ソラーリのボールを受けてからの判断の速さにより、マドリーの中盤は活性化していた。

しかし、対するビルバオも、攻守の切り替えが速く、巧みに試合をコントロールする。
こうして、ややビルバオ優勢のまま、スコアレスドローで前半を終えた。

後半も、互いに中盤で凌ぎを削る見応えある展開。
オーウェン、ソラーリ、グティがポジションを入れ替え、グラベセン、時にはサムエルが前線に飛び込む。しかし、相変わらずビルバオも、ライオンが狩りをするがごとく、抜群のチームワークでマドリーを捕らえる。

そして、均衡が破られた。
後半12分右でフリーになったオルバイスがゴール前にクロスを送ると、後ろから飛び込んだデル・オルノが頭で決めた。それまで珍しく集中を切らさなかったマドリーが、一瞬弛んだ隙をつかれた。
その姿はまさしく、獲物の警戒が解けたところを狙い、確実に仕留めるライオンのようだった。

その後、フィーゴ、オーウェン、ラウール・ブラボに替えてジダン、ロナウド、ラウールを同時に投入。超攻撃的布陣で反撃を開始。しかし、左サイドバックにソラーリが入ったものの、実質的に最終ラインが3枚となったマドリーは、この作戦が裏目にでてしまう。

守備が無秩序になったマドリーは、ビルバオに右サイドでパスを回され、ゴール前にスルーパスを出される。そのボールを左サイドのソラーリのマークを外したイラオラ(MF・スペイン)に流し込まれ、追加点を奪われた。交替により、手薄になった守備を突かれた形となった。

その後も落ち着いてゲームを展開するビルバオに対し、焦るばかりで前線と中盤が分離し、ゴールの予感すら感じられないマドリー。結局0-2で、マドリーは痛い黒星を喫した。

それほど悪くなかったマドリーが負けたのは、怠惰に過ごした一週間の報いではないかと思わずにはいられなかった。決めるべきところで決めておけば、流れはマドリーに向いていただろう。

ビルバオは試合を通じて攻守にわたり素晴らしい動きを見せた。決定機における集中力の差が勝敗を分けたとおもわれるが、それはマドリーとビルバオの過ごした試合前一週間の充実度の差であろう。
ビルバオが順位以上の実力を持つチームであることは、これまでの戦い振りをみれば明らかだった。それなのに、ビルバオ戦に向けてほとんど戦術練習をしてこなかったマドリーは、7連勝に思い上がっていたと言われても仕方がないだろう。

明日はいよいよ、チャンピオンズリーグの決勝トーナメント第1戦。相手は守りが固く、組織として成熟しているユベントス。マドリーが一番苦手なタイプの相手だ。この敗戦が戒めとなり、なんとかユーベに勝利してほしい。

c0040315_10193465.jpg写真は競り合うエルゲラ。ユーべ戦では天然系ストライカー・イブラヒモビッチ(FW・スウェーデン代表)をマークすることになりますかね?
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今日も独断と偏見による試合のお話。

オサスナは、スペインの北、フランスとの国境近くのパンプロナという街を本拠地とするチーム。現在リーグ11位と、ちょうど中間に位置しています。
首位バルサが前日のサラゴサ戦で勝ち点3を獲得しているので、バルサに離されないためにも、マドリーとしては、どうしても負けられない相手。

マドリーのスタメンは、昨日の予想通り。累積警告で出場停止のフィーゴに替わり、グラベセンがスタメンに入りました。布陣は、グラベセンの一人ピボーテに、右ベッカム、左グティ、トップ下ジダンと、ルシェンブルゴ監督になってからお馴染みの、中盤ダイヤモンド型。

キックオフと同時に、オサスナに攻め込まれるマドリー。とりあえず数的有利を作りながら、水際で食い止める。
しかし、攻め込まれたせいで、自陣に引ききってしまったマドリーは、ボールを奪うも、前線に意味なくボールを放り込むのみで、そこから先に進めない。その意味のないロングボールはすぐさまオサスナに拾われ、攻撃を展開され、マドリーゴールは危険にさらされ続けた。

このようにマドリーが前に進めない原因は、マドリーの守備にある。
もともとマドリーは、守備に組織を持たないという、構造的欠陥を持つ。このような試合展開は、その欠陥が露呈した結果だった。
すなわち、普通のチームなら、人数をかけて攻めてきた相手に対し、誰が誰をマークし、空いたスペースについてのカバーリングは誰がするかなど、約束事があるのだが、マドリーにはそれがない。
おそらくルシェンブルゴ監督は、現在その約束事を植え付けようとしている最中と思われるが、一朝一夕に完成するものではないため、ほとんど機能していない。

そのため、相手に攻め込まれると、古典的人海戦術による後追い守備により、布陣全体がずるずると後退し、選手全員が自陣深くまで下がってしまうため、攻撃を仕掛けるのが遅くなってしまう。よって、ボールを奪い、前線に送っても、そのパスに反応し、攻撃に転じる選手が一人もいない状態が続いてしまうのだ。

また、後追い守備は、秩序なく人を送り込むのみで、守備としての効果があまり望めない。
そのため、ゴール前に人がたくさんいるのに、ゴールが危険にさらされてしまうという、非合理的な状態に陥ってしまうのだ。
マドリーはボールを支配し、攻撃し続けることが出来れば強いが、逆にボールを支配されると、なかなか主導権を握れない。
「攻撃は最大の防御」という言葉がはまり過ぎてしまうチームなのだ。

他方のオサスナは、マドリーとは対照的に、ボールを奪ってから攻撃に転じるのが速く、一人がボールを持てば、まるで糸を引くように他の選手が動く。
足りないのは決定力と、運のみであった。

しかし、そのような素晴らしいオートマティズムの甲斐あって、前半35分、オサスナはウェボ(FW・カメルーン)により先制点があげられる。
ウェボ、アシストしたモラーレス(FW・ウルグアイ代表)に対する、サムエル、エルゲラのマークが外れたところを突かれたのだ。

後半も相変わらず冴えないマドリー。
しかし、グラベセンに替えてソラーリを投入すると、マドリーは流れを引き寄せるようになる。

左サイドを脅かすソラーリは、オーバーラップしたロベルト・カルロスにパス。ロベルト・カルロスは右サイドのジダンにクロスを送る。ジダンがそれを、胸でコントロールし、足で軽くゴール前に落とす。そこに飛び込んだのはラウールだった。ゴールこそならなかったが、マドリーにリズムが生まれた瞬間だった。

その後、グティに替わりオーウェンが投入される。
そして、この英国のワンダーボーイは、その名に相応しい奇跡を起こす。

c0040315_930787.jpg後半31分、ラウールがPA手前でFKのチャンスを得る。ロベルト・カルロスの蹴ったボールをキーパーが弾き、詰めていたラウールが左足で押し込むも再びキーパーに弾かれる。その浮き玉を身を屈めるようにして、オーウェン(写真右。左はサルガド。)が頭で押し込んだ。

しかし、マドリーの奇跡はこれだけでは終わらなかった。
PAからやや離れた左前方でソラーリが得たFKを、ベッカムが蹴った。そのボールをキーパーが弾いたところに、ゴールの右前に詰めていたエルゲラが足で押し込んだ。
エルゲラの今期初ゴール。
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いつものエルゲラ(写真中央)の、スコアラーに対する盛大な祝福をお返しするかのように、皆がかわるがわるエルゲラにしがみついた。それでもエルゲラは、なぜか額にしわがよっていた。喜びよりも、ウェボに献上した1点に対する雪辱を果たしたという達成感が見てとれた。

マドリーはまたしても、内容の伴わない勝利を手にした。
しかし、オーウェンとエルゲラの得点には、確かに勝者のメンタリティが感じられた。試合後、ルシェンブルゴ監督も、そのように語っている。
二人の強いメンタルが、チームに勝ち点3をもたらしたのだ。

今日は、独断によるとベストプレーはなかったが、オーウェンとエルゲラの勝者のメンタリティは好印象であった。なので、二人の強い心がベストプレーに値すると思われる。

薄氷を踏むような勝利だが、今日は勝てただけでも有り難いと思わなくては。

我らマドリディスタにとっては、今は我慢の時期かもしれませんね。
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今日もまた、独断と偏見による、試合のお話。


エスパニョールは首位バルセロナと同じく、バルセロナをホームとするクラブ。
今季はマクシ(MF・アルゼンチン代表)、デ・ラ・ペーニャ(MF・スペイン代表)などの好調により、現在4位につけており、バルサに負けぬ存在感を見せ付けています。

今日のマドリーのスタメンは、グラベセンに替えてグティを一人ピボーテに起用。
監督は、王子のファンタジーにかけてみたようだ。

しかし、監督のこの選択は、誤りではなかったようだ。

前半頭から、マドリーはリズムよくパスをまわす。その起点となっていたのはグティ。
しかし、対するエスパニョールも、プレス(相手からボールを奪ったり、パスコースを塞ぐこと)をかけつつ、落ち着いて決定的な場面を作らせないようにする。そして、隙をみては、速攻を仕掛けたり、パスを回してスペースをつくるなど、上位チームらしい巧みさを感じさせる。
ただ、マドリーも、プレスをかけられ、惨めにボールを奪われていた去年のマドリーではなかった。

ボールを失った選手やパスコースを塞がれた選手には、必ず一人は味方が助けに向う。
そして、その救援部隊の選手が失ったボールを回復したり、パスをもらいに行くことでマドリーは攻めのリズムを崩さずに済んだ。

もうひとつ、去年と大きく違うところがある。それは、狭いスペースにパスが通るようになったこと。
相変わらず、パスは足元にしか出ない。しかし、ワンタッチで素早いパスを回すので、相手にパスコースが読まれにくく、狭いスペースでもボールが奪われる危険が少なかったのだ。
この、「高速ワンタッチパス」こそが、従前の強いマドリーの象徴だったのだ。

さらに、去年のマドリーは、特定の選手の個人技に頼ることにより、その選手が徹底マークを受けると、チームとしての機能を失うという弱点があった。
しかし、この点についても、今日のマドリーは、個人技を生かす選手(グティ)を後ろに下げ、ジダンとフィーゴ、ラウールを絶えずポジションチェンジさせ、居所を固定させないことにより、相手のマークを付けにくくし、この4人を有効活用することに成功したのだ。

守備に関しても変化は見られた。相手に攻め込まれても、守護神イケル様の前にはちゃんとDFが四人並んで白い壁を作っていた。
以前から攻めに守りに駆け回っていたサルガドは、以前とかわらぬ仕事ぶりを見せていたが、無節操にオーバーラップを繰り返していたロベカルは、攻撃参加が減ってしまったように見えて、少々物足りなく見える。
しかし、これが、本来あるべき姿なのだろう。実際、攻撃参加が減ったといえども、いざという時にはかならずゴール左横にいてくれる、頼もしいベテランなのだ。

本日のベストプレーは、二つ。
一つ目はジダンの1点目。ベッカムからパスを受けたジダンは左にドリブルでするすると上がり、やや離れたゴール左前までやってくる。右に軽く、左に大きくという切り返しを一瞬にしてこなすことによりDFを一人交わし、もう一人のDFが足を上げてシュートコースを消すよりも速く、左足を振りぬく。ボールは鋭くゴールに刺さった。ランニングのスピードは落ちても、切り返しや足を振りぬくスピードは決して衰えを見せていない。むしろ、年々進化を続けているのではと錯覚するほどである。
しかし、このゴールは、ジダンの欲しい位置にパスを送ったベッカムの功労も大きいことも忘れてはならないだろう。

二つ目は、ラウールの2点目。右からフィーゴが、鋭いフェイントを交えたドリブルでゴール前に切れ込みシュートを打つが、GKのセーブによりはじかれたボールがポストに当たってバウンドする。跳ねたボールを後ろから飛んできたラウールが押し込み、ゴールを決めた。
フェラーリ(前マドリー&スペイン代表主将イエロが命名したラウールのニックネーム)が駆け抜けた瞬間だった。
偶然にも同じ日、ラウールの親友・モリエンテスも、彼の新しいホーム(アンフィールド)でゴールを決めていた。

他にもイケル様がイト(MF・スペイン)の至近距離正面からのシュートを二発連続で止めたスーパーセーブや、サムエルのマクシに対するカバーリング、ソラーリ(途中出場)の左クロスに合わせてのラウールのゴールなど、見所はたくさんあった。最後はゴール前で倒されたグティが失ったボールを、グラベセン(途中出場)がきれいに決め、結局マドリーは4-0でエスパニョールを下した。
グラベセンに対するチームメートの祝福振りは、グラベセンの人柄を感じさせた。トミーはまるで、何年も前からチームに居るようにみえるほど、皆から慕われていた。トミーもソラーリのユニフォームをつかんで興奮していた。
エルゲラはいつも、誰に対してもまるで自分のことのように盛大に祝福する。今日も三人のスコアラーに対して、心から嬉しそうに祝福していた。本当ににいい人だなぁ。


c0040315_10373513.jpg今日は結構良かったのではないかと思うのですが、ほめるにはまだ早いですかね?
スタメンの選手も途中出場の選手も、まんべんなく活躍の機会が与えられているので、途中出場の選手たちのフラストレーションも、以前に比べれば緩和されているのではないですかね?そりゃあもちろん、そういった選手たちが一番望むのはスタメンでしょうけどね。
ルシェンブルゴは、どんな魔法を使ったんでしょうね。
やはり、あのトランシーバー??
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今日はヌマンシア戦。ヌマンシアは、北国のソリアという街の小さなクラブ。
今シーズン一部に昇格したが、現在は最下位と、厳しい洗礼を受けています。韓国代表のイ・チョンスが所属しています。
ソリアは気温3℃と極寒。エルゲラは襟巻をし、サムエルは鼻に絆創膏を貼っていました。

スタメンは、昨日の予想の通り。


序盤、早いパス回しでヌマンシアの赤い壁を崩しにかかるが、うまく行かない。
その後、ベッカムや他の選手がゴール前に精度の高いロングボールを送るが、自陣に引き切った相手の前では意味をなさなかった。

ロングボールに効果がないとわかると、また正攻法(細かくパスを回す)で攻めるが、ボールは支配するも、相手の守備は崩せない。

以前に比べ、ボールに対するアプローチや、ボールを持った選手に対するフォローは速くなったものの、相手にスペースを消されているために足元にしかパスが出せず、パスコースが読まれてしまう。

そんな時の対処法は、前回も言ったが、ミドルレンジからシュートを打ち、相手ディフェンスを前に釣りだすこと。これを実践していたのは、フィーゴ兄貴だけだった。

グラベセンのおかげで守備の負担が減ったジダンとフィーゴは、明らかにのびのびとプレーしていた。彼らのプレーが、効を奏したかは別として。相手を崩せずとも、以前の様な悲愴感は感じられない。

しかし、以前と変わらないのは、前がかりになったところをカウンターで狙われるところ。
何度か危ない場面もあったが、なんとか切り抜ける。前半34分、FKをゴール前に上げられ、競り合った際に、エルゲラがPKを与えてしまうが、守護神イケル様の奇跡的なセービングにより、難を逃れる。
こうしてマドリーはチャンスらしいチャンスは得られぬまま、前半を終えた。

後半に入ると、相手が前に出てきた事もあり、前線にパスが通るようになる。
良い形が作られつつあったその時、ラウールに対するファールにより、FKのチャンス。
ベッカムの蹴ったボールは、低い弾道で弧を描き、ゴールを突き刺した。
その後、フィーゴにかわりグティが投入される。グティはセンスの良いパス出しで、次々と好機を演出。出れば良い仕事をしますよ、王子は。

そして、独断によるベストプレーは、2点目のサルガドのゴール。相手のDFラインが前に出たところを見逃さなかったグティは、右にいたオーウェンにパス。オーウェンは、右サイドから中央に絞っていたサルガドに、相手DFの股を抜くスルーパスを出し、サルガドがゴール左隅に流しこんだ。
オーウェンは、日頃、通訳や話し相手としてお世話になっているサルガド兄貴に、素晴らしい技術で恩返しが出来た。

その後も、グティ→ジダン→ソラーリと繋いでゴールチャンスが生み出されるなど、グティのファンタジーは止まらなかった。

対するヌマンシアは、個々の技術に勝るマドリー相手に、果敢にカウンターやセットプレーを仕掛けるなど、徹底した戦術で挑んだ。敵ながら、なかなかの戦いぶり。その甲斐あって、試合終了前に、セットプレーから一点を返した。

マドリーは1-2でなんとか勝ち点3を得た。
大好きなサルガドのゴールはうれしかったが、相変わらず内容は息苦しい。
しかし、首位バルサとの差が離されていないだけマシ。バルサも以前に比べ、疲れがたまっているようだし、まだ優勝は狙える!というのは、マドリディスタの妄想か?
今日も、途中で眠くなるような時間帯があったので、早く、目の醒めるようなスペクタクルを見せてほしい。

今日のジダンは、効果的なプレーは少なかったものの、体は軽そうだった。
出来るだけ長く見ていたいが、ジダンに残された時間が、決して長くないことも事実。
ピッチを去るその日が来る前に、もう一華咲かせてほしい。

c0040315_9381834.jpg写真は、サルガド。競ってます。
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今日は、独断と偏見に基づく、試合のお話。
両チームについて、簡単に説明すると、レアル・マドリッドは人気・実力共に世界レベルの、いわゆるビッグクラブ。
現在、スペイン国内リーグ(リーガ・エスパニョーラ、以下、リーガ)単独2位に付けていますが、度重なる監督の交代や、攻撃偏重によるチームバランスの悪さ、選手のメンタル低下等により、決して順調とはいえない戦いぶり。

対するマジョルカは、のどかな島の小さなクラブで、最下位一歩手前の19位と低迷中。二部落ちの危機にさらされています。
現在、日本人の大久保嘉人選手が所属しており、その活躍ぶりについて、スペインでも熱狂的に伝えられている模様。

と、いうのも、マジョルカ率いるクーペル監督は、自分の気に入らない選手は、たとえロナウド(現マドリー)でも使わないという、偏屈オヤジ。ゴールをあげる以前に、スペインでは低評価を受けがちな日本人が、そんなクーペル監督に認められた事がスペイン国民にとっては驚きだったよう。


今日はグティに替えてグラベセンの一人ピボーテ(守備的MF)。積極的に最終ラインを押し上げ、ラインの後ろをカウンターで狙われた場合は、グラベセンがカバーしていました。

常に相手と対峙しなくてはならない、過酷なピボーテの職を解かれたベッカムは、右サイドで活動。生き生きとクロスを上げますが、得点に結べじ。
やっぱり、モロが必要なんじゃないの?

R.カルロスが得たPKをフィーゴが決めるも、カンパーノのFKで返され、前半は1-1で終了。

後半も、PA(ペナルティエリア)付近まではボールを持ち込めるものの、攻め上がりが遅いため、人数をかけた相手の守備を崩すまでにいたらず。マジョルカの守備の良さは認めるにしても、マドリーの攻撃も相変わらず、以前のような怖さや巧みさは影を潜める。

しかし、昨年と比べれば、選手の勝利へのメンタリティは感じられるし、守備の組織化に着手している様子もわかる。改革途上のチームとしてはまずまずの出来ではないかと思った。

何より今までと違うのは、監督が選手の特徴を理解し、適切に配置している事。
でもこれは、グラベセンの加入、グティの成長あってこそだと、個人的に思っているのですが。

その後、FKからのゴール前の混戦をサムエルが押し込み、最後は途中出場のソラーリの美しいミドルシュートで、マドリーは試合を3-1で勝利した。
脅威は感じられないのに、勝ってしまう。今回もそんな試合。しかし、取り敢えず今は、勝てば良いさ。文句は言わないよ。

超独断によるベストプレーは、このソラーリのゴール。
ベッカムからパスを受けたソラーリが、一度グティ(途中出場)に下げる。右サイドを上がったソラーリが再びグティからパスをもらい、DFの甘いマークを軽く交わして、PA外右角、ミドルレンジから左足でシュート。ゴール左隅に決めた。

ゴール前を人数をかけて固められた場合に、どのような方策を採れば良いのかという、お手本のようなゴール。ソラーリはクロスではなくシュートを打ち、クロスを上げてくると見込んでいた相手のウラをかいたのだ。
もちろん、ゴール前でクロスを待つかのように、DFを引き付けていたであろう選手(よく見えなかったので誰かは不明)の貢献も忘れてはならないけど。
マドリーイレブンにとっても本日のベストゴールだったようで、ソラーリは今日の得点者の中では一番盛大に祝福され、艶やかな黒髪をぐしゃぐしゃにされていました。

最近は、試合中に何があっても顔をこわばらせていたジダンだが、今日は旧友ユリアーノ(先日ユベントスからマジョルカに加入)との再会を喜んだり、審判のジャッジに不満を露にしたり、FKの際には、「僕に蹴らせて!」とばかりにベッカムとフィーゴにウィンクするなど、表情がとても豊かだった。
プレーはまだまだかもしれないが、ジダンファンとしては、これは復調の兆しではないかと思っている。

ジダンは、親しい友人と別れる際にもウィンクをするときがある。アイドルじゃないんだから、そんなサービスいらないよ~。
だが、そんな可愛らしい仕草を自然に出来てしまうジズーは、見た目よりもずっc0040315_22323617.jpgとキュートな人なのかも知れないと思っている。

写真は、ゴールを喜ぶソラーリとベッカム。ほんとはもっと男前なのですが‥。
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