カテゴリ:試合観戦記( 57 )

遅くなりましたが、サラゴサ戦の試合の様子を一つ。

サラゴサは、スペイン北東部・アラゴン州のサラゴサという街のチーム。
今季は現在9位と、来季のヨーロッパの舞台をかけた争いもなく、また、降格の危機にもありません。
そして、既にチャンピオンズリーグ出場権を手に入れているマドリーも、何かを争うこともありません。
モチベーションを維持しにくい両者がどのような戦いを見せたのか。

スタメンは、右サイドにグティではなく、(MF・元スペイン代表)が入りました。
今シーズン限りで他チームへ移籍することが濃厚と言われているセラデスは、久々のスタメンです。


マドリーは開始早々、中盤でパスを回し、中央からの突破を図る。
しかし、サラゴサのチェック(守備)により、なかなかゴールに近付けない。

対するサラゴサは、サビオ(MF・元ブラジル代表)の足の速さを生かし、DFの裏を突くようにロングボールを送るなど、効率よくゴールに迫る。

また、マドリーは、意図の感じられないパスを回すばかりで、サラゴサの守備陣を崩すことが出来ないでいた。
他方のサラゴサは、巧みさは感じられずとも、マドリーが前掛かりになったのを見計らって守備陣の裏を突く、という戦術を徹底させていた。

いずれの攻撃が功を奏したのか。
それはデータ上からも明らかだった。
前半20分を過ぎたところでのシュート数はマドリーが0なのに対し、サラゴサは3だった。

本来なら、右サイドに入ったセラデスが中盤の底で攻撃を組み立て、周りの選手がそれに連動して攻撃を展開すべきなのだろう。
しかし、今日のセラデスは、ベッカムのように動くよう指示されたようで、サイド突破を図ることが多かった。
それにより、彼の持つ優れたパスセンスが生かせていないように見えた。

しかし、先制したのは、おとなしいマドリーの方だった。

トミーが右サイド付近でプレスをかけ、セラデスがボールを奪取し、ラウールにパス。
ラウールはワンタッチでボールを中央のジダンに出す。
ジダンは軽くドリブルし、ミドルレンジからシュート。キーパーが弾いて右にこぼれたところを、オーウェンが押し込んだ。
速いパス回しと相手の隙をつく、マドリーらしいプレーだった。

これで0-1。

1点を奪ったマドリーは、その後セラデスが中央に動き、ロナウドにセンスあふれるロビング(浮き玉)のラストパスを供給するなど、ゴールの匂いを感じさせるプレーはあったものの、相変わらずゴールに近付けずにいた。

対するサラゴサは、前半終了間際に鮮やかな速攻から同点に追い付く。

裏を突かれたうえに、抜け出した選手に左に釣られたマドリーDFは、ゴール中央をガラ空きにしていた。
そこへ走り込んだフリーのオスカル(MF・スペイン)がパスを受け、ゴールを決めた。
サラゴサの徹底した戦術が実ったのだ。

こうして前半は1-1で折り返した。

後半はオーウェンに替わり、フィーゴが投入された。
相変わらずサラゴサのチェックは厳しく、マドリーは1プレーをシュートで終わることが出来ない。

しかし、フィーゴの投入は、マドリーを良い方向へと導く。
フィーゴはドリブルによるサイドチェンジを図るべく、右から左へドリブルしようとしたときに、相手からバックチャージを受けた。
センターサークル付近でFKを得たフィーゴは、左にいたトミーにパス。トミーは斜め前方のジダンにロングフィード。ボールを受けたジダンは緩急をつけたドリブルで中へ切れ込む。ジダンがボールを持ち、瞬発力を見せた瞬間、ラウールとロベルト・カルロスはジダンを追い越し、ゴールへ向かって走り込む。
ジダンはラウールに浮き玉のパスを送り、ラウールはワンタッチで左前のロベカルにはたく。
そのボールを、ロベカルは鋭くゴールに突き刺した。

これで1-2。

フィーゴが右に入り、セラデスが中央後方に入ることにより、サイド、中央の攻撃が、前半に比べるとスムーズに運ぶようになる。
しかし、自陣深く引いて守るサラゴサを、崩すまでには至らなかった。

今シーズンを通じてマドリーに足りなかったもの――ボールを持つ選手を追い越してのスペースへの走り込み、攻めの人数の充実、速いパス回し――が改めて露呈していた。

その後、後半ロスタイムにフィーゴの絶妙のスルーパスからロナウドが決め、マドリーは1-3で今季最後の試合を終えた。

今季最後の試合も、スコアに対して物足りない内容となった。
しかし、今季限りでマドリーを去ることが噂されているフィーゴとセラデスは、改めてそのポテンシャルの高さを見せ付けてくれた。
来シーズン、マドリーで彼らのプレーが見られないと思うと、残念でならない。
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今日はアトレチコ・マドリッド戦の試合の話。

スタメンは昨日のとおり。

c0040315_9195612.jpgマドリーはボールをキープし、リズムよくパスを繋ぐ。ハーフウェーラインを越えると、ポジションを崩し流動的にフォーメーションを形成する。
対するアトレチコは、ポジションチェンジをしながら襲い掛かるマドリーに対し、プレスを上手くかけられない。それでも、最終ラインが落ち着いて対処することにより、難を逃れていた。



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しかし、それはマドリーも同じで、アトレチコが攻撃に転じたときには、やはり中央ではなく、最終ラインのサムエル、パボンにより危険を除去されていた。




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そのため、互いに攻撃の組み立ては最終ラインから始まっていた。






互いに攻撃の起点がゴールから遠い位置であったため、相手を崩すには、どの地点からスピードを上げて攻め入るかがポイントとなっていたが、緩急の付け方はマドリーの方が勝っているように見えた。
アトレチコは、ゲームメイクにやや戸惑いがみられ、フェルナンド・トーレス(FW・スペイン代表)の才能を生かせていないように思えた。

そのため、両者は自陣ペナルティエリアの手前から、敵陣のペナルティエリアの手前までのコンパクトなスペースでの攻防を展開した。


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ピチチ(得点王)を狙うロナウドは、ペナルティエリア手前で得たFKを蹴ったり、キーパーとの1対1など、ゴールチャンスを得るが、いずれもレオ・フランコ(GK・アルゼンチン代表)の好セーブに阻まれた。




マドリーが中央、サイドと多彩な攻めを見せていたのとは対照的に、アトレチコはサイドの突破力が弱いように見えた。これは、1月に獲得したサイドアタッカー、グロンキア(MF・デンマーク代表)の負傷離脱が響いているのだろうか。

こうして両者は無得点のまま前半を折り返した。

後半に入ると、両者の勢いはトーンダウンしたように見えた。チェックの甘いアトレチコに対し、余裕を持ってボールを回すマドリー。

しかし、マドリーが前掛かりになった時に、アトレチコが裏のスペースを突く場面が何度か見られた。
引いて守るアトレチコを見ていると、マドリーが前掛かりになること自体がアトレチコの狙いであるかのように思えた。
ただ、そのカウンター攻撃も、トミーの粘り強い守備や、サムエル、パボンのコンビネーションにより、功を奏することは出来なかった。

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あと一歩のところで攻めあぐねるマドリーは、後半29分にベッカム、ロナウドに代えて、フィーゴ、グティを投入。ゴール前の突破力を強化したが、なかなかうまく行かなかった。




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最後の笛が吹かれるまで、マドリーはゴールに対する執着は失わなかったが、結局スコアレスドローで試合を終えた。







試合を通じて、ダービーにしては少々おとなしい印象だった。

この試合は、今季かぎりで現役引退を表明しているフェルナンド・イエロ(DF・元スペイン代表、ボルトン、前マドリー主将)に捧げるものとなり、試合前にそのセレモニーとしてイエロによる始球式が行なわれた。
スーツ姿で穏やかな表情のイエロがピッチに立つ姿は、見慣れなかった。
イエロはマドリー時代のユニフォームとキャプテンマークを手に、ボールを斜め前方に蹴った。
それを見守るラウールと抱擁をかわす姿になんとも言えない感慨と淋しさを覚えた。
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今日はセビリア戦について思うところを1つ。

セビリアはアンダルシア地方のチーム。
現在4位につけており、来季のチャンピオンズリーグ出場枠内(上位4チームまで)を確保していますが、5位には同じアンダルシア地方を拠点とするライバル・ベティスが勝ち点わずか3差(5/13現在)で追い上げて来ているので、取りこぼしは許されません。
セビリアには、サルガドと代表の右サイドバックを争うセルヒオ・ラモス(DF・スペイン代表)や、司令塔・パプチスタ(MF・ブラジル代表)がいます。
現在リーガ4位という実力と、前節ライバルのベティスに破れたことにより、追い詰められている事を考えると、マドリーにとってセビリアはまさに「手負いの虎」であり、脅威であるといえるでしょう。

スタメンは予想の通り。

前節、ベティスに破れた欝憤を晴らすかのように、立ち上がりから猛攻を仕掛けるセビリア。
対するマドリーは、グラベセンを中心にボールを回収するが、グラベセンの回収したボールを上手く攻撃に転じさせることが出来ない。

対照的にセビリアは、マドリーのゆるい足元へのバスを難なく奪い、素早く攻撃に転じる。セビリアの攻撃は、ほとんどがシュートで終わっているように見えた。それほどまでにセビリアのゴールへの執着は凄まじかった。
セビリアは守備に関しても一貫して抜け目がなかった。
マドリーがボールを奪うと、それまで攻撃型にポジション取りをしていたセビリア陣営は守備型へとシフトする。
マドリーのパスの受け手をマークし、パスを回せないようにしていた。
こんな時、マドリーの取るべき方途としてはマークを外す動きでパスコースを作ることであると思われた。
この日のマドリーの攻撃の起点は、ボール奪取に優れたグラベセンが担うことがほとんどであったが、グラベセンに対し、敵のマークを外してパスを要求していたのはラウールだけのように思えた。

おそらく、序盤からのセビリアの猛攻に恐れをなしたマドリーは、セビリアの攻守の切り替えの速さについていく自信がなかったのかもしれない。
セビリアが攻撃に転じた時に攻め込まれることを恐れて、自分の持ち場を離れて積極的に動くことが出来ないように見えたのだ。

そして、前半19分、ついにセビリアの猛攻が功を奏す。
PA左手前でのグラベセンのヘスス・ナバス(MF・スペイン)に対するファールによりFKを得たセビリアは、レナト(MF・ブラジル代表)が横に軽く蹴ったところを、セルヒオ・ラモス(DF・スペイン代表)が直接ゴールに決めた。ボールは低く鋭い弾道を描き、ゴール左隅に刺さった。
カシーリャスのマジックハンドも及ばなかった。

これで1-0。

しかし、その後もマドリーは相変わらずセビリアの猛攻に手間取っていた。
この先制点に勢いづいたセビリアは、攻撃の手を緩めることなく、マドリーゴールに襲いかかった。

しかしその後、思わぬ形でマドリーは同点に追いついた。
次第にボールをキープできるようになり、早いパスがセルビアに捉えられずに回せるようになったマドリーは、グラベセン→ラウール→左に流れたベッカムとパスを繋げた。ベッカムはサイドを駆け上がるロベルト・カルロスのタイミングを見てパスを出し、ロベルト・カルロスはゴール前に走り込んだオーウェンにクロスを上げた。
しかし、クロスボールに触れたのは、オーウェンをマークしていたハビ・ナバーロ(DF・スペイン代表)だった。
ハビ・ナバーロの触れたボールは、そのままゴールに吸い込まれた。
事故的なラフプレーによる出場停止明けのハビ・ナバーロをまたも悲劇が襲った。
前半41分。失点は避けたい時間帯の出来事だった。

これで1-1。

今日は寝坊しました。すいません・・。
続きは後ほど。
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今日は気分が良いので、もう少しクラシコについて。

今朝のクラシコは、本当に良かったですね!
この感動を、リアルタイムで皆さんと分かち合えないのが大変残念です。こんな時に限ってモデムが故障するなんて、と未だ恨めしく思います。

「世界最高の技の共演」と言うよりは、意地と意地のぶつかり合いという印象を持ちました。まさしく、「1日喧嘩祭り」(by neoさん)と言う呼び名がピッタリです。

「世界最高の技の共演」という試合は、今シーズンではCLのバルサ VS ミランもしくは、バルサ VS チェルシーの試合を指すのではないかと思いました。

マドリーは本当に良かったけど、まだまだその場凌ぎであることは否めません。
シーズン終了後に何らかの改革はしなくてはならないでしょうね。

この試合、スタメンから外れたフィーゴは、後半にオーウェンと交替で出場しました。
フィーゴのいないこの布陣が良かったのか、正直私にはわかりません。
なぜなら、今回の勝利は、布陣の是非ではなく、個々の選手が攻撃と守備を平等に負担することによって、不均衡と言われ続けた全体の攻守のバランスをとることにより得られたものと考えられるからです。

他方、バルサについては、後半途中に、相手との接触があったわけではないのにヒザを傷め、退場したエトーの容体が気になります。
モッタ、カブリ、エジミウソン、ラーションを襲った謎の負傷の呪いはまだ解けていなかったようですね。
とにかく、早く回復してほしいですね。

もう一つ、あくまで私見ですが、あれだけ好機を演出していたジュリが、なぜ下げられたのか。
バルサの試合をたくさん見ているわけではないのでわからないのですが、あの交替は通常の采配として適切だったのでしょうかね?
マキシ・ロペスの投入は当たっていたと思いますが、他の選手と替えた方がよかったのではと思いました。
普段監督の采配はほとんど気にしない方なのですが、今日は少し気になりました。

でも、とりあえず今日一日は浮かれ気分で過ごしてみようと思います。

◇お知らせ◇

これから少し忙しくなってしまうので、1ケ月ほど記事の更新をお休みさせて頂きます。
いつも訪れてくださる方々には大変申し訳ないのですが、よろしくお願いします。
コメントへの返信は、適宜させて頂きます。
次回は、5/9か10に再開を予定しています。

これからも、何卒よろしくお願いします。
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今日はクラシコ。
スタメンは以下のとおり。

バルセロナ

GK:ビクトル・バルデス
DF:ベレッチ
プジョル
オレゲール
ファン・ブロンクホルスト
MF:マルケス
イニエスタ
シャビ
FW:ジュリ
ロナウジーニョ
エトー

マドリーは昨日のとおり。トップ下にはラウール、左サイドにジダンが入りました。


序盤、ペースを掴んだのは、意外にもマドリー。
最前線のロナウドまでもが下がってボールをもらいに行くなど、この日のマドリーはいつになく献身的にボールを追い、スペースを求めた。
決して組織的な動きではなかったが、それぞれが自分の役割を理解し、必死に全うしようとしていた。
そのため、一体感はなくとも、意志統一は感じられた。

ロナウジーニョをグラベセンとサルガドが交替で見張り、エトーはパボンが密着マーク。シャビやジュリには、その都度近くにいる選手が対処した。

バルサのプレスが甘かったこともあり、ボールを支配できたマドリーは、いきな先制点をあげる。
ロベルト・カルロスのサイドチェンジからロナウドがボールをキープし、低いクロスをあげる。長い距離を走り込み、ダイブして頭で合わせたのは、ジダンだった。
ゴールを決めたあと、勢い余って顔をポストに激突させるほど、ジダンは無心で走ったようだった。
前半7分のことであった。

その少し前に、ラウールがプジョルと接触し、右目の横を切って絆創膏を貼っていたため、ジダンとラウールが並んで画面に写ると、絆創膏が目立っていた。
それほどまでに今日のマドリーは泥臭く、気迫のこもったプレーを見せていた。

マドリーは両サイドバックの上がりを控え、じりじりと最終ラインを上げて、スペースをコントロールしていた。中盤のやや高い位置からプレスをかけ、パスコースを塞ぐことにより、バルサの攻撃を遅れさせていた。
そのおかげで最終ラインは、ぎりぎりまで引きつつも、余裕を持って対処できていた。

また、前線と二列目は、ポジションを固定せず、常に流動することにより、どの位置からボールを奪っても、柔軟に攻撃を展開出来た。

このように、マドリーはラインの押し上げにより相手にスペースを与えず、流動的なポジション取りによって、相手のプレスを逃れたことにより、相手にスペースを与えてしまうこと、スペースとボールを求めずに個人技で打開しようとすることという2つの弱点の克服に成功した。

ただ、この作戦が功を奏したのも、バルサが本来の力を発揮出来ていなかったことが大きいと思われた。
シーズン終盤の、蓄積した疲れが見えていたバルサは、マドリーの流動的な攻撃に対し、プレスのかけどころを掴めないようだった。

しかし、そんなバルサも比較的自由に動けるマルケスやジュリにより、何度もマドリーゴールを脅かした。たとえチームが本調子ではなくとも、バルサには1人で試合を決められる選手が何人もいるのだ。

そして、前半20分、ロナウドが得たFKをベッカムが蹴り、ロナウドが頭で合わせ、ゴールを決めた。
「怪物」が甦った。

最近このセットプレーでゴールを決めていたのは、エルゲラだった。そのため、バルサの選手はエルゲラに釣られ、ロナウドとジダンはフリーにされていた。
このように、明晰なバルサ守備陣が簡単に釣りだされてしまうところも、らしくなかった。

その後もややマドリーが押し気味に試合を進めた。
ジダンはプライドをかなぐり捨ててジュリからボールを奪うが、イニエスタに簡単に獲られていた。
しかし、最も目を引いたのは、ベッカムがロナウジーニョからボール奪っていたことだった。ベッカムは、サルガドとポジションチェンジをし、最終ラインまで下がっていることもあった。

やがて前半28分。ついにバルサが反撃に出る。
PA付近で3人に囲まれたエトーが、シャビにパス。エルゲラにつぶされながらもシャビはボールをキープし、前方に走り込んできたエトーにパス、エトーは、飛び出してきたイケルを交わしてゴールに流し込んだ。
今のエトーには、誰にも止められない怖さがあった。おそらくこれが、ピチチ(得点王)の持つ独特の強さなのだろう。

このように、バルサには調子が上がらなくても、個人の力で逆境を跳ね返す底力があった。

これで2-1。

このゴールで目を覚ましたバルサは、流れを掴んだ。
マドリーのパスミスを突き、ボールを奪うと速攻を仕掛ける。
布陣がやや間延びしているため、長いパスで攻撃を展開し、徐々にマドリーの守備を崩し始めた。
あわや同点ゴールかと思われるシュートが何度も放たれた。

しかし、前半ロスタイム、イニエスタからボールを奪い、右サイドからドリブルで上がったロナウドがベッカムへ下げ、ベッカムがダイレクトでジダンへサイドチェンジ。ジダンは自身のコーチングにより前方へ走り込んだロベカルにパスを出し、ロベカルはPAに侵入。中央に流したところをラウールが飛び込み3点目を決めた。ラウールらしいゴールだった。

こうして、前半は3-1でマドリーがリードして折り返した。


後半も、お互い本来の持味や実力を出し切れないながらも、勝者のメンタリティの感じられる見応えのある試合を展開した。

一進一退の攻防が続き、お互い好機を得点に結べずにいた。

この白熱した攻防から一歩抜け出したのは、またもやマドリーだった。

前半20分、中盤での競り合いから、エトーに渡ったボールをエルゲラがボールをカット。こぼれたところをベッカムが前線へロングボールを送る。オフサイドなく抜け出したオーウェンがボールを受け、持ち込み、ゴールへ流した。
必要最小限のパスで決めた、鮮やかなゴールだった。

これで4-1。

しかし、バルサはこれでは終わらなかった。

後半28分、ジュリに替わり投入されたマキシ・ロペスがPA中央手前で得たFKを、ロナウジーニョが驚異的な集中力で直接決めた。
その無駄のない動きから、ボールの弾道を読むのは困難であった。あらためてロナウジーニョの非凡な才能を見せ付けられた。

これで4-2。

ここまで全力を尽くして戦った両者は、明らかに消耗していた。お互いに間延びした布陣を、ただ、気力だけで走っているように見えた。
それでも、最後まで食らい付く姿勢を忘れない好ゲームをみせてくれた。

試合は結局、4-2でマドリーが勝利した。

今回の変則的布陣が勝利をもたらしたというよりは、選手個々の守備意識と、勝者のメンタリティの具備による勝利と思われた。
マドリー不振の原因は、やはりメンタルの低下と最低限の決めごとさえ欠如していたということだったのか。

また、バルサに攻守のバランサーであるデコがいなかったことや、バルサの選手が全体的に本調子ではなかったことも勝因の1つであろう。

しかし、繊細さや華やかさはなくとも、マドリーの選手の鬼気迫るプレーにはひきつけられた。
私見では、マドリーは今季最高の試合だった。

これでバルサとの差は6ポイント。
リーガ制覇へ望みをつないだ。

最後に独断と偏見でベストプレーヤーを選ぶとしたら、パボン、グラベセン、エルゲラ、ベッカム、プジョル、イニエスタ、マルケス、ジュリ。
しかし、今日はピッチ上の全ての選手が素晴らしかった。
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アルバセテは、スペイン中東部、マドリードの隣のカスティーリャ・ラ・マンチャ州・アルバセテという街のチーム。ウルグアイ代表のパチェコ(FW)が所属しています。
現在は19位と、厳しい残留争いをしています。

スタメンは、ラウールに替えてオーウェンが入りました。布陣も、中盤菱形ではく、グティ-グラベセンの2ピボーテと、なんとなくサイド攻撃主体と思わせる布陣となりました。

マドリーは、序盤からボールを持つも、パスの出し所に迷い、横パスや後ろへのパスが目立ち、消極的な展開。
最終ラインから、前線までが間延びし、スペースを相手に埋められているため、パスを出しても簡単に奪われる。ただ、守備に関しては、アルバセテの方も弛緩していたので、運良く繋がれば、とりあえずゴール前までは持ち込むことが出来た。ただ、マドリーはパス・動き共に非常に緩慢であったため、相手を崩してゴールを奪うまでには至らなかった。

対するアルバセテは、守備に難はありつつも、攻守の切り替えが速く、ボールを奪うと、チームが一体となって鮮やかな速攻を仕掛ける。

そして前半9分、その鮮やかな速攻から放たれたシュートをグラベセンがクリアミス、ボールはフリーだったレドンド(MF、アルバセテ)の前にこぼれ、あっけなくゴールを奪われた。

これで1-0。

明らかにトミーの凡ミスではあったが、いつも献身的にチームに尽くすトミーを責める気にはなれなかった。しかも、今日のトミーは、間延びした中盤を繋ぐべく、ボールを奪うと必死に前線に駆け上がっていた。

また、トミーの動きに連動したグティと、グティのスルーパスに反応をみせたオーウェンという、真ん中の縦のラインは、この日唯一の得点を感じさせるプレーとして光っていた。

そして、この輝かしいグティ-オーウェンラインは、後にチームを救うことになる。

先述のように、2列目両サイドにフィーゴ、ソラーリとウィンガー(タッチライン際をドリブルで縦に突破を図るタイプの選手)を置いたためか、サイド攻撃を主体とすると思われたが、お互いの相方である両サイドバックのオーバーラップがあまりなかったため、2人の頑張りも虚しく単発に終わっていた。

サルガドは怪我したヒザを庇いながらプレーをしているように見えたため、いつもの思い切りの良い突破が見られなかった。
ロベルト・カルロスは、間延びしたスペースを相手に突かれることを警戒したのか、やはりあまり前線に上がる所が見られなかった。

そんな苦しい中で、エルゲラが魅せた。
前半15分、フィーゴのCKにエルゲラが頭であわせ、同点に追い付く。

滞空時間の長いジャンプで優雅にゴールを決めたエルゲラ。

相手の肩に手を掛けたとして、アルバセテの選手はファールを主張していたが、あの程度であれば空中戦で競り合う際の常套手段として許容範囲であるように思えた。

これで1-1。

しかし、この後もマドリーは冴えない。中盤を形成できないマドリーは、ロングボールを前線に放り込み、ロナウドとオーウェンにDFラインの裏を狙わせるという暴挙に出た。

しかし、前半ロスタイム、あのグティ-オーウェンラインが機能した。
こぼれ玉を拾ったトミーが右のフィーゴへパス、フィーゴはダイレクトで中央のグティにはたく。グティはドリブルで上がる。前にはDF3人を引き付けたロナウド。左にはフリーのオーウェンが手を挙げている。グティはオーウェンにパスを出し、オーウェンはゴールに流し込んだ。

これで1-2。

ただ、このゴールは、DF3人を引き付けたロナウドの功績も大きいだろう。

後半は、このアドバンテージを守りぬくことに終始し、マドリーは勝ち点3を得た。

ゴールシーンとその他のプレーの落差が大きく、来週のクラシコに不安を残す内容となった。

しかし、来週のクラシコは必勝だ。
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今日はフランス代表の試合を独断と偏見でみてみました。


フランスは優れたテクニックでボールをキープ。中央でパスを回し、右サイドはジュリ(MF・バルセロナ)の俊足、左サイドはドラソー(MF・AC.ミラン)の巧みなドリブルで攻めこむが、中央で待つトレゼゲ(FW・ユベントス)、ヴィルトール(FW・リヨン)にラストパスを供給できない。

対するスイスは、前線からプレスをかけ、ボールを奪ったら速攻を仕掛けるという、非常にシンプルかつ効果的な戦術でフランスを脅かした。
しかし、スイスの攻撃は、フランスの優秀な守備陣により水際で食い止められ、フランスは安定した守りをみせた。

フランスは攻撃の起点となるビエラ(MF・アーセナル)、ペドレッティ(MF・マルセイユ)を抑えられ苦悩していた。
そのため、前線のジュリ、ドラソー、ヴィルトールが代わる代わる中盤に下がったり、中央に絞るなどして、攻撃の組み立てを手伝う。
しかし、この3人の救援部隊の奮闘虚しく、フランスのクロスやシュートはスイスの守備陣に跳ね返され、得点には至らなった。

フランスの選手は、皆勤勉で良く動く。中盤の底でボールを持った選手やボールを奪われた選手に対するフォローが速く、すぐにボールを回復出来る。
しかし、回復したボールを前へつなぐとなると、効果的な動きが出来ない。そのため、パスコースが読まれたり、1人で持ち込んで囲まれるなど、スイスの組織的守備により阻まれてしまうのだ。

おそらくこれは、前線の救援部隊が下がっているため、ボールを奪って速攻を仕掛けても攻めの人数が不足してしまうことによると思われた。
周りに味方がいないため、個人技による突破を図るが、スイスの守備陣に捕らえられてしまうのだ。

攻めの人数が不足していたのは、ビエラ、ペドレッティが、救援部隊を追い越して前のスペースに飛び出せなかったことが原因と思われた。2人は、最終ラインの押し上げがなかったため、彼らの裏の間延びしたスペースを突かれることを恐れていたように見えた。

それほどまでにスイスの攻撃は、切れ味が鋭く恐ろしかった。

また、攻めに人数をかけられた場合でも、ゴール前でボールを回し、相手を翻弄して守備を崩すという、組織的攻撃が出来ないでいた。
これは、ボールを持たない選手がどのように動けばよいのかがわかっていない、すなわち組織としての機能がないことが原因と思われた。おそらく、攻撃の組み立ての全てにおいて明確な決め事がないのだろう。

状況や相手にあわせて、臨機応変に対処できる状況判断能力に、改めてフランスの選手の個々のレベルの高さを思い知らされた。
だが、ボールを持った選手に合わせて効果的な動きをするというオートマティズムの欠如は致命的であった。
オートマティズムは組織力により作られるものである。個人技の高いフランスにとって、今必要なのは、徹底した戦術による組織力であろう。

ただ、フランスは、ジュリの素晴らしい飛び出しやドラソーの精力的な動きにより、何度も好機を作っていたのは確かだ。
あのたくさんのシュートのうち、1つでも決めていれば試合は決まっていたはずだ。しかし、スイスがフランスに対し、ゴール前でボールを持った選手を、決してフリーにしなかった事も事実である。
それほどまでに、スイスは組織として優れていた。

今日、フランスはイスラエルと対戦する。
もう後がない。
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マラガは、スペイン南部のマラガという街のチーム。創立11年と、非常に新しいチームです。
現在は15位と残留争いには巻き込まれていないものの、油断は出来ない状況です。

しかし、油断は出来ないのは、2位に付けてるマドリーも同じ。来季のチャンピオンズリーグ出場権のためにも、取りこぼしは許されません。


スタメンは昨日の通り。

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マドリーは左サイドのジダン、ロベルト・カルロスを中心に攻め込むが、決定的な場面を作ることが出来ない。
中央、右サイドと、攻撃の起点を変えながら前へ進もうとするが、PA内へ侵入することは困難であった。



攻めのスピードは相変わらず遅いため、相手は守備の態勢を崩される事無く、適切に対処する。
そのため、マドリーがマラガの守備を崩すには、個人技に頼るしかないように思えた。



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実際、マドリーは個人技によるドリブルやボールキープからのスルーパスにより、相手の守備の網をかいくぐろうとするが、ドリブルは人数をかけて止められ、スルーパスは、プレスをかけられることにより精度を欠いた。




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もしくは、突破して良いクロスが出ても、誰も反応できずに好機を逸していた。






PA内に侵入出来ないため、ミドルシュートやセットプレーからの得点を狙うが、うまくいかない。
ベッカムのFKからエルゲラが合わせるというのは、一つの攻撃オプションとして確立しているようだった。
セットプレー以外にも、攻撃参加によりエルゲラが積極的にゴールを狙うシーンが何度か見受けられた。

マドリーの選手にやる気が感じられないわけではなかったが、攻め込むが崩せないということの繰り返しで、少々眠い試合展開に終始していたようにみえた。

このように、生産性の低い内容となった要因は、味方がボールを持っている場合に、それを追い越し、積極的にポジションを取る選手がいないことにあるように見えた。

積極的に前に出て、ボールを要求する選手がいないため、場当たり的にパスを出す。
そのため、パスの1つ1つが意味をもたず、ゲームを形成しないため、相手がパス回しに振られることがなく、結果、相手の守備を崩せないのだ。

ただ、積極的に前に出られないのは、前に出ることにより、攻め込まれた場合の守備への切り替えが遅くなることを警戒しているという理由があるのかもしれない。
しかしこれは、守備の組織化を図り、攻守の切り替えを速くすることにより解決可能な問題だ。
自陣深く攻め込まれる前に攻撃の芽を摘み、そこを起点として反撃に転じるという効率のよいスタイルを築くことが必要だと思われる。
今日の試合は、先述のような、マドリーの抱える最大の課題が露呈した結果であるように思えた。


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それでも後半16分に、ロナウドのが左から中央に出したパスをロベカルがミドルレンジからシュートを打ち、ゴールを決めた。
今日の攻撃スタイルが、なんとか実を結んだ。







1つ、目を引いたのは、サルガドの替わりに入ったセラデスが、リズム良くボールをさばき、中盤を活性化させていたこと。球離れがよく、積極的に前に上がるセラデスは、マドリーのゲームを作っていたように見受けられた。

結局マドリーはこの1点を守り、1-0で貴重な勝ち点3を得た。

マドリーが復調するために克服すべき課題は、いよいよ顕在化してきたように思えた。
やはり、個人技主体から組織化への以降は早急に着手すべきだろう。
個々の選手の連結を欠き、ボールを持ったまま立ち尽くしたり、苦し紛れにパスを出し、拾われて、相手に絶好の好機を演出する。
そんなマドリーの姿は、見るに耐えない。

しかし、組織化はたやすく整備されるものではない。マドリディスタにとっては、長く厳しい「冬」の訪れを迎えることになりそうだ。
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ヘタフェはマドリードのチーム。創立20年にして今シーズン初めて一部に昇格しました。
そのためこの対戦は、もう一つのマドリードダービーになります。
現在は16位と、昇格組としてはまずまずの位置にいます。

スタメンはソラーリではなくグラベセンが入り、グラベセンとグティがピボーテに入りました。

前半開始早々、脅威は感じられないながらも、マドリーはヘタフェのゴール前へと攻め込む。しかし、凡庸な攻撃しか出来ないマドリーは、ゴールを決めるのによい位置からシュートを打つことが出来ない。
また、守備にしても緩急をつけたスピードある攻撃を展開するヘタフェをとらえることが出来ずに、あっけなく攻め込まれる。
攻守にわたりマドリーは、数的優位を作ることが出来ず、ヘタフェにとってはやりやすい相手でしかなかった。

それでも、何度かラウールがゴール前に飛び出し、ゴールを匂わせるプレーを見せた。このように、良い形が出来たのは、マドリーの選手がボールを求めて積極的にスペースに走りこんだことによるものだった。

c0040315_9312085.jpg高い個人技による圧倒的なボールキープが出来ていた時は、攻撃のスピードが多少落ちても攻めの形を作ることは出来ていたかもしれない。
しかし、もはやそのような脅威のないマドリーが同じ方法を用いても、体をぶつけてボールを奪いにくるヘタフェにとっては、格好の餌食となるだけだった。

今のマドリーが相手の守備を崩すのに必要なことは、個人技ではなく、スペースやボールを求めて走り回る勤勉さだった。

ボールをキープすることにより、相手にボールを奪われずにゴールへ向かうのではなく、相手の守備から逃れるべく積極的に動いて相手を散らし、ゴールに向かうことが有効と思われた。そしてそのようなスタイルの変化を要求されていることは、マドリーの頂点からの転落を象徴しているように感じられた。

もはや自分本位な王様サッカーは許されず、地道に相手を見ながらプレーする勤労者のようなサッカーへの転換が必要なのだ。

肉弾戦に弱い優雅なマドリーは、獰猛で果敢なヘタフェにことごとく潰される。そして、その潰される位置がだんだんマドリーゴールに近づき、とうとうゴールを奪われた。
エルゲラのクリアミスによるものだった。
そしてこのエルゲラのミスは、今のマドリーの脱力感を象徴しているようだった。

結局その後もマドリーは魂の抜けたプレーに終始し、2-1で破れた。

c0040315_9323860.jpgこの試合の唯一の希望は、終了直前のソラーリのゴール。
グティが倒されて得たゴール正面のFKを、ラウールが素早くリスタートし、右に流す。
サイドを上がってきたフィーゴパレンシアがクロスを上げ、相手DFがクリア。
そのボールはゴール正面ミドルレンジにいたソラーリの元へ飛び、ソラーリは胸でワントラップ、ボレーシュートを決めた。
サッカーの神が舞い降りた瞬間だった。神がソラーリにゴールへの弾道を見せてくれのだ。

マドリーの魂が感じられたワンプレーだった。

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これでバルサとの差は11ポイント。それでも、信じるしかない。
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今日も、リーガの試合が開催されました。
待ちに待ったバレンシア戦です。

バレンシアはスペイン南東部・バレンシアのチーム。
街のいたるところで、搾りたてのオレンジジュースが味わえます。また、パエリアや闘牛など、私たちがスペインと聞いて思い浮べるもののほとんどは、バレンシアのものです。

バレンシアは、いわゆるスペイン4強(マドリー、バルセロナ、デポルティーボ、バレンシア)に数えられる強豪です。昨シーズンはリーガとUEFA杯を制し、見事二冠を達成しましたが、今シーズンは監督の交代などで、いまいちペースを掴めずにいます。


マドリーはリズム良くボールを回しながら、相手の出方を探る。
ボール回しに相手が釣りだされたところを狙って、一気にスピードを上げて攻め入る隙を狙っているように見えた。

しかし、成熟した判断力を持つバレンシアもそう簡単には釣られずに、落ち着いて対応する。
しかも、バレンシアもアイマール(MF・アルゼンチン代表)のマークが外れた隙に、彼を中心として全員が一体となって一気に動きだすという、素晴らしい連動をみせた。
両者とも、攻守にわたり緊張感を保ち、全体的に良く引き締まったゲーム展開となった。

そして、前半14分、ボールが遠い位置にあることにより、マドリーの守備が弛緩したところを、流れるような速攻からアイマールに決められてしまった。

それまで高い集中力を保っていたマドリーは、無常にもほんの一瞬の隙を突かれた。
しかし、チーム全体がそのような一瞬の隙さえ逃さない抜け目のなさが、バレンシアにはあった。
そしてそれは、両者の組織力の差であるように見えた。
マドリーは、組織化が進んだとはいえ、その成熟度はバレンシアの方が一枚上手だった。

ゴールに近い位置でバレンシアの選手を捕まえることに失敗すると、マドリーの守備はたちまち秩序を失う。そこへバレンシアは、美しいフォーメーションを用いて、怒濤のようにのようにマドリーを飲み込んでゆく。
このように、相手を中盤で食い止められなかった場合に、攻め入ってくる相手に対して個々の選手が何をすべきかがわかっているのがバレンシアで、わからないのがマドリーだ。そして、この差こそが組織の成熟度の違いだった。

攻め込まれるたびに、マドリーは、布陣全体が後退し、次第に攻撃の起点がバレンシアゴールから遠くなる。遠い位置から攻撃を開始するため、相手ゴールにたどりつくのに時間がかかり、なかなかバレンシアの守備が崩せない。

このような場合、以前のマドリーなら、ボールを持ったまま、なすすべなく立ちすくんでいた。

しかし、今のマドリーは、奪ったボールの出しどころに迷いはない。ゴールが遠くても、果敢に戦うことを忘れなかった。
ボールは、グラベセン、グティと経由することにより、二重に変化がつけられ、バレンシアの選手が散らばる中央のタイトなスペースを切り裂くことができた。

c0040315_10331789.jpgそして、前半28分、グティがロナウドと相手DFの動きをよく見て、オフサイドにならぬようにスルーパスを出す。それをロナウドはGK、DF一人を交わしてゴールを決めた(左写真)。

これで1-1。


その後は、バレンシアに主導権をにぎられ、マドリーは我慢して攻撃をしのぐ形で前半を終えた。

後半もバレンシアが優勢に試合を運んだ。
サイドや中央から多彩な攻撃を展開するバレンシアに対し、マドリーの最終ラインの4人は、一枚の壁のようにバレンシアを跳ね返していた。
体を張ってパスやシュートを殺すエルゲラやサムエル。
一対一でライン際に相手を追い込むロベカルとブラボ。

しかし、守備は堅くても、中盤の競り合いに勝てず、前線へ攻撃を繋げることができずにいた。

アイマールのマークのために人数を割いたマドリーは、シソッコ(DF・マリ代表)やミスタ(FW・スペイン)、バラハ(MF・スペイン代表)などの他の危険な選手を見張るため、前線の選手が借り出された。
そのため、攻守の切り替えが器用でないマドリーの前線は、守備に忙殺されるあまり攻撃チャンスの波を何度も乗り逃がした。

結局1-1で試合はドローにおわった。

バレンシアは「大殺界」を経て、昨シーズンにリーガを制したときよりも強くなっているような気がした。組織の中にも個性が生きるようになったのだ。

対するマドリーは、バレンシアのゲームメイクにリアクションする形となった。このようなサッカーは退屈であると言われがちだが、マドリーの選手の気迫のこもったプレーには、退屈さを感じることはなかった。
むしろ、自分を知り、相手に合わせて適切に対応する「大人のサッカー」が出来ているように思えて、好印象であった。

次は、ユーベ戦。
ジダンとラウールが入ることにより、どのような変化を見せてくれるか、楽しみだ。
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