試合観戦記(05/3/5:バレンシア VS レアル・マドリッド)

今日も、リーガの試合が開催されました。
待ちに待ったバレンシア戦です。

バレンシアはスペイン南東部・バレンシアのチーム。
街のいたるところで、搾りたてのオレンジジュースが味わえます。また、パエリアや闘牛など、私たちがスペインと聞いて思い浮べるもののほとんどは、バレンシアのものです。

バレンシアは、いわゆるスペイン4強(マドリー、バルセロナ、デポルティーボ、バレンシア)に数えられる強豪です。昨シーズンはリーガとUEFA杯を制し、見事二冠を達成しましたが、今シーズンは監督の交代などで、いまいちペースを掴めずにいます。


マドリーはリズム良くボールを回しながら、相手の出方を探る。
ボール回しに相手が釣りだされたところを狙って、一気にスピードを上げて攻め入る隙を狙っているように見えた。

しかし、成熟した判断力を持つバレンシアもそう簡単には釣られずに、落ち着いて対応する。
しかも、バレンシアもアイマール(MF・アルゼンチン代表)のマークが外れた隙に、彼を中心として全員が一体となって一気に動きだすという、素晴らしい連動をみせた。
両者とも、攻守にわたり緊張感を保ち、全体的に良く引き締まったゲーム展開となった。

そして、前半14分、ボールが遠い位置にあることにより、マドリーの守備が弛緩したところを、流れるような速攻からアイマールに決められてしまった。

それまで高い集中力を保っていたマドリーは、無常にもほんの一瞬の隙を突かれた。
しかし、チーム全体がそのような一瞬の隙さえ逃さない抜け目のなさが、バレンシアにはあった。
そしてそれは、両者の組織力の差であるように見えた。
マドリーは、組織化が進んだとはいえ、その成熟度はバレンシアの方が一枚上手だった。

ゴールに近い位置でバレンシアの選手を捕まえることに失敗すると、マドリーの守備はたちまち秩序を失う。そこへバレンシアは、美しいフォーメーションを用いて、怒濤のようにのようにマドリーを飲み込んでゆく。
このように、相手を中盤で食い止められなかった場合に、攻め入ってくる相手に対して個々の選手が何をすべきかがわかっているのがバレンシアで、わからないのがマドリーだ。そして、この差こそが組織の成熟度の違いだった。

攻め込まれるたびに、マドリーは、布陣全体が後退し、次第に攻撃の起点がバレンシアゴールから遠くなる。遠い位置から攻撃を開始するため、相手ゴールにたどりつくのに時間がかかり、なかなかバレンシアの守備が崩せない。

このような場合、以前のマドリーなら、ボールを持ったまま、なすすべなく立ちすくんでいた。

しかし、今のマドリーは、奪ったボールの出しどころに迷いはない。ゴールが遠くても、果敢に戦うことを忘れなかった。
ボールは、グラベセン、グティと経由することにより、二重に変化がつけられ、バレンシアの選手が散らばる中央のタイトなスペースを切り裂くことができた。

c0040315_10331789.jpgそして、前半28分、グティがロナウドと相手DFの動きをよく見て、オフサイドにならぬようにスルーパスを出す。それをロナウドはGK、DF一人を交わしてゴールを決めた(左写真)。

これで1-1。


その後は、バレンシアに主導権をにぎられ、マドリーは我慢して攻撃をしのぐ形で前半を終えた。

後半もバレンシアが優勢に試合を運んだ。
サイドや中央から多彩な攻撃を展開するバレンシアに対し、マドリーの最終ラインの4人は、一枚の壁のようにバレンシアを跳ね返していた。
体を張ってパスやシュートを殺すエルゲラやサムエル。
一対一でライン際に相手を追い込むロベカルとブラボ。

しかし、守備は堅くても、中盤の競り合いに勝てず、前線へ攻撃を繋げることができずにいた。

アイマールのマークのために人数を割いたマドリーは、シソッコ(DF・マリ代表)やミスタ(FW・スペイン)、バラハ(MF・スペイン代表)などの他の危険な選手を見張るため、前線の選手が借り出された。
そのため、攻守の切り替えが器用でないマドリーの前線は、守備に忙殺されるあまり攻撃チャンスの波を何度も乗り逃がした。

結局1-1で試合はドローにおわった。

バレンシアは「大殺界」を経て、昨シーズンにリーガを制したときよりも強くなっているような気がした。組織の中にも個性が生きるようになったのだ。

対するマドリーは、バレンシアのゲームメイクにリアクションする形となった。このようなサッカーは退屈であると言われがちだが、マドリーの選手の気迫のこもったプレーには、退屈さを感じることはなかった。
むしろ、自分を知り、相手に合わせて適切に対応する「大人のサッカー」が出来ているように思えて、好印象であった。

次は、ユーベ戦。
ジダンとラウールが入ることにより、どのような変化を見せてくれるか、楽しみだ。
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by kobo_natsu | 2005-03-06 10:34 | 試合観戦記