試合観戦記(05/2/19:レアル・マドリッド VS アスレティック・ビルバオ)

今日もまた、独断と偏見による試合を見てのお話。


対戦相手のアスレティック・ビルバオは、バスク地方のチーム。バスク地方にはバスク人が多く居住し、独自の文化を持っています。
ビルバオは、そんなバスク地方の象徴であり、バスク独自の文化を守るため、祖父母の代からバスク地方に居住する者以外の入団を許さず、外国人も受け入れない純血主義を貫いています。そのため、ビルバオは「孤高のライオン」と呼ばれています。

このような極端な純血主義は、バスク地方の人々が、フランコ独裁政権下の中央政府により、独自の文化(独自の言語の使用さえも)を禁じられる、厳しい弾圧を受け、苦しめられていたという歴史的経緯によるものと思われます。
そしてこの歴史の闇は、バスク地方のみならず、バルセロナのあるカタルーニャ地方など、スペイン国内の独自の文化を持つすべての地域の人々が共有するものなのです。

このように、サッカーが単なる競技スポーツではなく、国の歴史や文化、社会と密接不可分の関係にある点において、欧州と日本との大きな違いを実感させられます。

ビルバオは現在9位。しかし、デル・オルノ(DF・スペイン代表)、ジェステ(FW・スペイン代表)などの才能を擁し、順位以上の実力を持つチームです。

マドリーのスタメンは、予想と大きく外れ、以下のようになりました。

           カシーリャス

サルガド  エルゲラ    サムエル   R.ブラボ


        ベッカム     グラベセン
 

       フィーゴ        ソラーリ


              グティ

             オーウェン



開始からマドリーは、右サイドから攻撃を展開。フィーゴがボールを持てば、サルガドが上がる、といった具合に、いつもの名コンビ振りを見せた。
右が押さえられると、ベッカムにボールを下げ、グラベセン、ソラーリと経由して、左サイドの攻略を図る。こうして前線に運ばれたボールは、最前線のオーウェンに運ばれるが、そこはビルバオ守備陣が適切に対処する。

だがビルバオも、防戦一方ではなく、中盤から積極的にプレスをかけ、ボールを奪うと素早く攻撃を仕掛ける。
そして、前半16分、オルバイス(MF・スペイン)が、カシーリャスが前に出ているのを見逃さずにハーフウェーライン付近からシュートを打つ。
ボールはバーに当たり、地面を跳ねて外に出た。その際、ゴールラインを割っていたのだが、審判も、ビルバオ側も気付かずに、見逃された。

その後マドリーは、左に流れたオーウェンがクロスを上げ、空いた中央のスペースにグティが飛び込むなど、オーウェンの機転による良い攻撃が展開されたが、ゴールを奪うまでには至らない。
グラベセンの、ボール奪取からパス出しまでの流れるような素早い動きや、ソラーリのボールを受けてからの判断の速さにより、マドリーの中盤は活性化していた。

しかし、対するビルバオも、攻守の切り替えが速く、巧みに試合をコントロールする。
こうして、ややビルバオ優勢のまま、スコアレスドローで前半を終えた。

後半も、互いに中盤で凌ぎを削る見応えある展開。
オーウェン、ソラーリ、グティがポジションを入れ替え、グラベセン、時にはサムエルが前線に飛び込む。しかし、相変わらずビルバオも、ライオンが狩りをするがごとく、抜群のチームワークでマドリーを捕らえる。

そして、均衡が破られた。
後半12分右でフリーになったオルバイスがゴール前にクロスを送ると、後ろから飛び込んだデル・オルノが頭で決めた。それまで珍しく集中を切らさなかったマドリーが、一瞬弛んだ隙をつかれた。
その姿はまさしく、獲物の警戒が解けたところを狙い、確実に仕留めるライオンのようだった。

その後、フィーゴ、オーウェン、ラウール・ブラボに替えてジダン、ロナウド、ラウールを同時に投入。超攻撃的布陣で反撃を開始。しかし、左サイドバックにソラーリが入ったものの、実質的に最終ラインが3枚となったマドリーは、この作戦が裏目にでてしまう。

守備が無秩序になったマドリーは、ビルバオに右サイドでパスを回され、ゴール前にスルーパスを出される。そのボールを左サイドのソラーリのマークを外したイラオラ(MF・スペイン)に流し込まれ、追加点を奪われた。交替により、手薄になった守備を突かれた形となった。

その後も落ち着いてゲームを展開するビルバオに対し、焦るばかりで前線と中盤が分離し、ゴールの予感すら感じられないマドリー。結局0-2で、マドリーは痛い黒星を喫した。

それほど悪くなかったマドリーが負けたのは、怠惰に過ごした一週間の報いではないかと思わずにはいられなかった。決めるべきところで決めておけば、流れはマドリーに向いていただろう。

ビルバオは試合を通じて攻守にわたり素晴らしい動きを見せた。決定機における集中力の差が勝敗を分けたとおもわれるが、それはマドリーとビルバオの過ごした試合前一週間の充実度の差であろう。
ビルバオが順位以上の実力を持つチームであることは、これまでの戦い振りをみれば明らかだった。それなのに、ビルバオ戦に向けてほとんど戦術練習をしてこなかったマドリーは、7連勝に思い上がっていたと言われても仕方がないだろう。

明日はいよいよ、チャンピオンズリーグの決勝トーナメント第1戦。相手は守りが固く、組織として成熟しているユベントス。マドリーが一番苦手なタイプの相手だ。この敗戦が戒めとなり、なんとかユーベに勝利してほしい。

c0040315_10193465.jpg写真は競り合うエルゲラ。ユーべ戦では天然系ストライカー・イブラヒモビッチ(FW・スウェーデン代表)をマークすることになりますかね?
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by kobo_natsu | 2005-02-21 10:23 | 試合観戦記