幸運を掴んだリベリ

06年W杯でのレブルーは冴えなかった。とかく、グループリーグでの戦いぶりは、目を覆うばかりだった。
PK戦の末、W杯をもぎ取ったのが、大会を通して安定したパフォーマンスを見せたイタリアだったことは、物事は最後に帳尻が合うように出来ているということを、よく表している。

c0040315_23131727.jpgそんな中、臨死状態のレブルーの心臓として、各器官に血液を送り続け、蘇生させた選手がいた。
それがフランク・リベリ(MF・フランス代表、マルセイユ)だ。

フランク・リベリは1983年4月1日生まれの現在23歳。
思い切りの良いドリブルと、スペースへの飛び出しが印象的なエネルギーに満ちた選手である。
若さのせいもあるかもしれないが、そのがむしゃらなプレースタイルは、エレガントなレブルーの中にあっては、異質に映る。

それはまるで、彼が如何にして苦悩のキャリアをくぐり抜けてきたかをうかがわせているようにも思える。
ジダンと同様に、集合住宅の一角にある広場で腕を磨いたリベリは、地元のクラブチームを経てプロとなった。
しかし、プロとなってからもリベリの苦悩は続く。
フランスの3部リーグや、フランスからは遠く離れたトルコのクラブを転々とし、やっと日の目を見たのは05-06シーズン。マルセイユへの移籍を果たした時だった。

その後リベリが世界に知られるようになったのは、06年W杯の代表発表の時である。
そのときの活躍は、皆さんの記憶に新しいところであろう。

リベリがW杯で活躍できたのは、それまで運を逃してばかりであったと思われた彼が、やっと掴んだ幸運のおかげであるように思えた。
1つ目の幸運は、選手としての最後を迎えていたジダンの運動量のなさを埋めるべく、自由に走り回れたこと。
2つ目の幸運は、当時のレブルーにとっての致命的な弱点は運動量の乏しさであったこと。
このW杯は彼の持ち味をプレゼンテーションする絶好の機会となったのだ。

しかしこれは、サッカーの神が帳尻を合わせるようにイタリアに4度目のW杯をもたらしたように、彼の人生の帳尻を合わせたものであったのだろう。
試合が進むにつれ、赤く染まる彼の右頬の傷に浴びせられた心ない言葉は、幼い頃から彼を苦しめ続けたのだそうだ。
しかし彼は、この傷が自分を人間として成長させてくれたのだと語る。
06年W杯の素晴らしき思い出は、苦悩に耐え続けたリベリに対し、神が与えた最高のギフトだったのかもしれない。
それが単なる贈り物ではなく、選手としての実力であることを証明できるほどに、今後の活躍を祈念したいものである。
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