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フットボールとファイナンス

とある国際会計事務所によると、昨シーズンの欧州のクラブの上位20チームの中で、総収入が一番多かったのは、レアル・マドリッドなのだそうだ。

それまで、9年連続首位を獲得していたマンチェスター・ユナイテッドの総収入が、前年比5%減の2億4600万ユーロ(約340億円)だったのに対し、マドリーの総収入は前年比17%増の2億7600万ユーロ(約380億円)だったのだそうだ。

総収入は入場料収入や放映権料、ユニフォームのスポンサー料などの合計で算出される。
マドリーの増益の分の大半はスポンサー料の増加によるものなのだそうだ。
この記事を掲載した新聞は、マドリーの増益とユナイテッドの減益の背景には、ベッカムの移籍が密接に関連しており、改めて彼のブランド力の高さを浮き彫りにしたと分析している。

このような数字や分析を目の当たりにすると、マドリーのチーム作りにおいて、スポンサーとの関係が勘案されているのではないかという、疑念が強くなる。

ボスマン判決による移籍市場の規制緩和や高騰し続ける選手の年俸や移籍金、それに相反するようにして起こった放映権料バブルの崩壊により、クラブは資金調達をクラブや選手のブランディング(ブランド力をつけ、商品価値を高めること)に頼らざるを得なくなったことは確かだ。

そしてそれは、スポーツ用品メーカー・アディダス社のアジア戦略など、サッカー取り巻く企業とも利害が一致する。
アディダス社は、2002年W杯をアジア市場開拓の契機とし、今年のW杯はアジア市場拡大の商機とみて、そのための投資を惜しまずにいる。
さらに同社は、日本を「堅い」市場と判断し、日本でもっとも親しまれているプロスポーツである野球の読売ジャイアンツとオフィシャルパートナー契約を結ぶ周到さを見せている。

確かに、資金調達は重要だ。
オリンピック・リヨンやビジャレアルなど、資金調達に成功したチームは、競技においても成功を収めている。
しかし、木を見て森を見なければ、本質を見失うことにもなりかねない。

oasisのリアムの言葉が胸に響く。

「サッカーに専念して勝利にふさわしい奴らなら、勝つんだよ。」
by kobo_natsu | 2006-03-14 16:40 | ニュース