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CL:アーセナル×マドリー(06/03/08)

mayuさんが、さらに詳しいレビューを書いてくださっていますので、どうぞ!!

スタメン

アーセナル

GK:レーマン(ドイツ代表)
DF:エブエ(コートジボアール代表)
トゥレ(コートジボアール代表)
センデロス(スイス代表)
フラミニ(フランス代表)
MF:セスク・ファブレガス(スペイン代表)
ジウベウト・シウバ(ブラジル代表)
フレブ(ベラルーシ代表)
→ ベルカンプ(FW・元オランダ代表)
リュングベリ(スウェーデン代表)
レジェス(スペイン代表)
→ ピレス(MF・フランス代表)
FW:アンリ(フランス代表)
4-2-3-1


マドリー

GK:カシーリャス(スペイン代表)
DF:サルガド(スペイン代表)
→ ロビーニョ(FW・ブラジル代表)
セルヒオ・ラモス(スペイン代表)
ラウール・ブラボ(スペイン代表)
ロベルト・カルロス(ブラジル代表)
MF:グラベセン(デンマーク代表)
→ バティスタ(MF・ブラジル代表)
ベッカム(イングランド代表)
ジダン(フランス代表)
グティ(スペイン代表)
FW:ラウール(スペイン代表)
→ カッサーノ(FW・イタリア代表)
ロナウド(ブラジル代表)

4-1-3-2


グティは布陣上はトップ下だったが、実際はトップ下と中盤の底を行き交いながら、チームを動かしていた。
トミーとグティのピボーテは、連携、バランスともに優れ、序盤のマドリーの攻勢に貢献した。
マドリーはトミーの底上げにより前線をコンパクトに保ち、ワンタッチでリズム良くボールを回した。

対するアーセナルも、網の目のようなマドリーのパスコースを器用に切り、低めに構えたアンリの、縦一本のスルーパスから得点機を見いだそうとしていた。


一瞬気を抜けば、命取りとなる。
そんな緊迫感の中、ゲームは小刻みに左右に動いた。

トミーのアイデアあふれるゴール前への浮き玉から、マドリーの最初のチャンスが生まれた。
トミーはロナウドの動きや意図を良く理解していたが、ロナウドの頭に触れたボールは僅差でポスト横に流れた。

マドリーの攻撃を担ったのは、グティである。
グティからボールを受けたジダンは、思いのままにプレーしていた。
ジダンには、センデロス、エブエがつき、ジダンは彼らのチェックにクレームをつけるほど熱くなっていた。

最近大人になったといわれるグティも、主審の出したカードに鬼の形相で抗議していた。

アーセナルは中央よりも右サイドのフレブの攻撃が光った。リュングベリが良いおとりとなり、生き生きと躍動するフレブに、ロベルト・カルロスは手を焼いていた。
反対サイドでは、サルガドとレジェスのマッチアップが展開されていたが、こちらは代表の先輩サルガドが優勢だった。
しかし、サルガドが守備に追われたため、マドリーの右サイドは機能しなかった。
ベッカムは相変わらず流れを滞らせたため、マドリーの攻撃オプションは1つ減った形となった。

また、セルヒオ・ラモスはアンリのマークが外れたり、パスミスや無意味なロングボールなどで、しばしばピンチを招いた。

アーセナルは、前線のアンリやフレブ、リュングベリもマドリーDFに積極的にプレスをかけてきていたため、最終ラインも中盤並みに逼迫した状況にあった。
1つのミスも許されないし、パスの1つ1つを無駄にしてはならなかったのだ。

その意味では、ベッカム、ラモスの精彩を欠いたプレーは、マドリーにとってもどかしいものだった。

お互いに試合を通して、同じくらいの決定機を迎えたが、枠を外れたり、GKやDFの体を張った好プレーにより事無きを得ていた。

後半開始、監督はロナウド、ベッカムを信頼したのか、動かなかった。
やや運動量の落ちたマドリーは、アーセナルにスペースを与えつつも、体をぶつけて善戦した。





後半20分を過ぎても、両者は状況を打開出来なかった。

そして、両監督は同時に動いた。
ベンゲル監督は、サルガドに押さえられていたレジェスに換え、アイデアのあるピレスを、ロペス・カロ監督は、足を傷めたグラベセンに換え、バティスタを投入した。

互いにこの交替は機能し、中央での勝負が増えたが、疲弊したマドリーは、しばしばアンリのマークを外し、ゴールを危険にさらした。

その後ロペス・カロ監督は、ラウールに換えカッサーノ、サルガドに換えロビーニョを投入。
全方位での攻撃態勢に入った。
特にカッサーノは、ベッカムが機能しないと悟ったのか、自らが右に流れ、献身的にチャンスメイクに尽くした。

最後はカシーリャスまでが攻撃に加わり、マドリーは死力を尽くして戦った。
主無きゴールにボールが吸い込まれそうになる場面もあったが、ロベルト・カルロスが食い止めた。

しかし、同様に全身全霊で守り尽くしたアーセナルから1点をもぎ取ることは出来なかった。

カメラがカシーリャスの背後からスタジアムをとらえたとき、彼方に見えた時計台(ビッグベン?)の時計の針は、タイムアップを告げていた。

マドリーは長い混乱を経て、ようやく1つの時代を終えた。
逆に、アーセナルは、攻守にわたり模範を示したキャプテン・アンリの元、欧州制覇ヘ向け、大きな一歩を踏み出した。
しかし、リュングベリなどが満面の笑みでチームメイトと勝利の喜びを分かち合う中、アンリだけは笑顔を見せなかった。
激務を終え、心身ともに疲れ果てた男の姿がそこにあっただけだった。