ネオ・ジャパニーズ、飛来す

近年、日本人選手が海外のへ渡り、クラブレベルで世界を相手に戦うことに目新しさがなくなってきた。
セリエAやプレミア、ブンデスリーガと、欧州各国に進出を果たす中、昨年の夏、日本人としては初めて、フランスのリーグアンに乗り込んだ選手がいた。
それが、松井大輔(MF・日本代表、ルマン)だ。

c0040315_2225050.jpg松井は1981年5月11日生まれの24歳。ポジションは左サイドハーフ。
京都出身ながら、名門・鹿児島実業高校を経て、京都パープルサンガに入り、プロとしてのキャリアをスタートさせた。

松井はあらゆる形でチャンスメイクを為し得る、日本人選手としては希有な存在である。
まず、ドリブル。そして、パス。さらにはポジショニングにより、仲間を的確なパスコースへと導く。

これまで、これらいずれか1つを為し得る日本人選手は何人もいただろう。
しかし、すべてを一定の水準以上で為し得る選手は、いなかったように思われる。

また松井がニュータイプの日本人選手として特化され得るのは、攻撃面だけではない。
生まれついた体格差から、日本人選手は、ボールを持つと欧州の選手から吹っ飛ばされることが多く、それが世界の壁の1つとして日本に立ちはだかっていた。

しかし松井は、体を入れた守備にもよく耐え、相手に対して果敢にボールを奪いに行くたくましさを身につけている。
攻撃と守備、個人技と組織と、何事にもバランスが求められている現代サッカーにおいて、松井はサッカー界のトレンドを押さえた選手でもあるのだ。

サッカー後進国として、常に世界のトレンドから一歩遅れてきた日本において、このように世界の現在的要求に答えられる選手が出てきたことは、革新的であると言えるだろう。
松井の登場は、日本サッカーの進歩の顕在化の1つなのだ。

c0040315_223921.jpg松井のルマンでの成功は、技術のみならず、そのキャラクターによるところも大きいそうだ。
海外に渡った日本人選手は、言葉や文化の壁がプレーに影響し、本来の実力を発揮出来ぬまま帰国する選手が少なくないそうたが、松井はその気さくな性格から、すぐに街の人やチームメイトにも馴染めたそうだ。
チームメイトからは「ダイ」と呼ばれ、監督からは日本語を交えたジョークで励まされるほど、松井はクラブに溶け込んでいる。

海外のクラブに渡った日本人は、よく「サムライ」と称される。
そこには、おそらく彼らが立ち向かわなくてはならないものがクラブ内でのライバルや異文化など、対戦相手だけではないという意味を含むものなのであろうと考えられる。
しかし、松井の場合は、クラブはもちろん、フランスの文化ともよりよい関係を築くに至っており、孤独な戦いを強いられているわけではない。
その姿には、「サムライ」という言葉はあまり似合わない。

しいて言うなら、日本のサッカーのレベルアップをアピールし、友好を深める「親善大使」と言ったところだろう。

クラブでは替えのきかない選手としてチームを牽引しているが、代表においては、未だ松井は来年のW杯に出場できる保障はない。

しかし、松井を応援する日本人の一人としては、どうか彼の活躍がジーコの心を動かしてくれる事を願ってやまない。
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by kobo_natsu | 2005-10-22 21:59 | 選手