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FIFAの汚職とFCPA

FIFAの収賄疑惑について連日報道されてますが、捜査に乗り出したのはアメリカの司法省という組織です。これは、今回の摘発がアメリカのFCPA(The Foreign Corrupt Practices Act 連邦海外腐敗行為防止法)という法律に基づくものであるからと思われます。FCPAとは、外国の公務員に対する贈賄行為を禁止する法律で、日本では不正競争防止法という法律の中の条項の1つに類似の規定があります。
この法律のすごいところ(怖いところ?)は、アメリカの法律であるにもかかわらず、広く他国にも影響するという点です。
たとえば、インドネシアで、中国の公務員に対して賄賂を渡した場合でも、この法律で罰せられます(「域外適用」といいます。)。ただ、1つ条件があって、賄賂を渡した会社や個人が、アメリカの会社、アメリカで上場してる会社もしくはアメリカに子会社などの関連会社を持つ会社であること、個人の場合は、アメリカ市民、国民または居住者であることが必要になります。
日系企業には、アメリカに関連会社を持っている会社が多数あるので、このような日系企業には、気をつけなくてはならない法律になります。実際、このFCPA違反で捕まってしまった日系企業はいくつかあり、有名なところでは、ブリジストン、丸紅でしょうか。

本件の調査の端緒となった事案は、アメリカの某スポーツウエアメーカーが、1996年に南米のとある国のサッカー協会とサプライヤー契約を締結したときに、不必要なお金が動いたのではという疑惑なのだそうです。ちなみに、サッカー協会というのは国家組織ではなく民間団体なのだそうで、このままでは、FCPAは適用されません。
どうやら、スポーツウエアメーカーからサッカー協会へ支払われたお金の一部がFIFAの関係者流れるという形で、贈賄行為を行ったのではないかと見られているそうです。すなわち、スポーツウエアメーカーとサッカー協会間の取引が、マネーロンダリングに使われたという疑いがあるみたいですね。これは憶測になりますが、FIFAの職員は公務員とみなされ、FCPAが適用されたのだと思われます。
スポーツウエアメーカーから直接FIFAの関係者にお金が渡されていなくても、FCPA違反になるのかという疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、間接行為でも違反になります。実際ブリジストンは、仲介を頼んだ現地エージェントが、ブリジストンが知らないところで勝手に賄賂を渡していたにも関わらず、有罪になりました。これがFCPAの怖いところです。
ちなみにこのスポーツウエアメーカーは、FIFAの汚職報道後すぐに、疑惑を否定する声明を出しているそうです。

このスポーツウエアメーカー、私の愛する某チームのサプライヤーでもあるので、なんとか関与してないといいのですがね。

※ まだ調査が始まったばかりで情報も少ないので、齟齬があれば、随時更新します。

by kobo_natsu | 2015-06-02 11:32 | ニュース