遅れてきた男と第3の男

2006年W杯予選も終盤にさしかかり、フランス代表は勝ち点10でかろうじて暫定首位にとどまっている。
しかし、後に続く勝ち点9のアイルランド、スイスは試合消化数がフランスより1試合少ないうえ、フランスの残り2試合はグループ内において最大のライバルであるアイルランドとのアウェーゲームを残しているため、フランスは1位通過どころか2位でのプレーオフも厳しい状況となっている。

その、フランス代表の戦いぶりについては、以前ご紹介したとおり(拙稿 05/3/26:フランス代表 VS スイス代表戦レビュー参照)。
とりわけ、ジダンが抜けた左サイドを誰が埋めるのかは、常に注目を集める。

ここ数試合で左サイドを務めたのは、ビカシュ・ドラソー(MF・AC.ミラン)とカメル・メリエル(MF・ボルドー)。

c0040315_218015.jpgドラソー(左写真)は実力がありながらも、フランス黄金世代(98年W杯、2000年EURO優勝チーム)とほぼ同時期にフットボーラーとしてのキャリアを過ごして来たため、彼らの引退によりやっと日の目を見た「遅れてきた男」。








c0040315_2182752.jpgメリエル(左写真)は、ジダンの後継者候補の1人であり(拙稿ジダンの後継者参照)、ジダン本人から後継の指名を受けている。優れた技術を持ちながらも、大舞台に恵まれていないため、その実態が謎めいている「第3の男」。



では、いずれの選手がレ・ブルー(フランス代表)の左サイドとして適切なのだろうか。

ドラソーは、本来はドリブラーのようである。巧みなドリブルでライン際を上下、もしくは外から内へと切り込むプレーが見受けられた。
しかし、玉離れはそれほど悪くなく、状況に合わせてパスやスペースへの走り込み、シュートなども見せていた。
また、守備も得意で、クラブでは守備的MFに配置されるようである。
全体の印象としては、状況判断に優れ、プレーの選択も的確な、賢い選手といった感じであった。
プレーエリアは、前方のライン際から、ピボーテの位置とやや下がり目である。

他方メリエルは、玉離れがよいパサータイプの選手のようである。両足から繰り出されるワンタッチパスにより、攻撃にリズムを作る。
とにかくボールの扱いが上手く、ボールを受けてからパスを出すまでのスピードが恐ろしく速い。
プレスをかけに行く相手DFがボールに足を伸ばす頃には、既にボールを離しているため、伸ばされた相手の足がしばしばメリエルの足にかかって転がされる場面が見受けられた。
他の選手よりも、常に動作が一瞬速いのだ。
転がされても、眉一つ動かさずに立ち上がって、直ちにプレーを続ける姿がジダンと重なった。
プレーエリアは、前方の左から真ん中を好むようだ。
自由に動いてパスを出すため、比較的広いスペースを要するらしい。

このように、ドラソーはライン際を好むドリブラーで守備的、メリエルは前方を広く使うパサーで攻撃的と2人は異なるタイプの選手である。
いずれが今のフランス代表に適しているのか。
それは、戦術により異なると思われる。

あくまで私見であるが、攻撃の起点を後ろ(守備的MF)に持ってくるのなら、ドラソーが適任と思われる。ペドレッティ(MF・マルセイユ)を起点とし、彼のパスにドラソーが反応する。
ドラソーには相方として優秀な左サイドバックが必要となるだろう。

そして、攻撃の起点を前方に持ってくるなら、メリエルを攻撃の起点とし、前線の選手との連携が必要となるだろう。
しかし、前線のアンリ(FW・アーセナル)は、自由に動くことを好み、広いスペースを要求するため、メリエルとプレーエリアが重なる恐れがある。
それを調整するのが監督の腕の見せ所であると思われるが、残念ながらドメネク監督には、そのような手腕はないように思われる。

c0040315_2113577.jpgどちらを起用するにしても、その周りの選手との兼ね合いがカギとなるだろう。
とにかく、早くドメネク監督が戦術を固め、明確なビジョンを打ち出すことを願ってやまない。
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