レブルーの落日

アフリカ大陸初のW杯は、レブルーにとって、将来二度と思い出したくないと思うであろう、悲惨なものとなった。
フランスサッカー協会と対立した選手たちに用意された帰りの飛行機の座席は、エコノミークラスだったそうだ。しかし、これは今回のレブルーの働きに見合ったものと言えるだろう。

サッカー外の出来事については、ここで語るまでもなく、メディアがこぞって報道しているので、割愛させて頂く。
では、純粋にサッカーだけを考えると、レブルーは何が問題だったのか。

確かに、敗因は選手のメンタルによるものと思われるが、そのような目に見えないものだけが原因であるとすると、問題の本質はぼやけてしまう。
そのため、あくまで私見であるが、客観的要因について以下に考察する。

今回の敗因は、選手の持つ特性と、実際に与えられたポジションがマッチしてなかったということに尽きるように思われる。特に前線は、選出者の偏見と「世間体」のみによって配置されていたように見えた。誤解を恐れずに言うと、選出者は、自らが扱いやすく、かつ、選出しなければ自らがバッシングを浴びる恐れのある選手を、でたらめに並べたに過ぎない。
すなわち、選出者は、チームとして機能することよりも、自分にとってリスクの少ないチームを作り上げようとしたのだ。

第1戦の布陣を見てみると、トップにアネルカ(FW・チェルシー)、左にリベリ(FW・バイエルン・ミュンヘン)、真ん中にグルキュフ(MF・ジロンダン・ボルドー)、右にゴブ(FW・オリンピック・リヨン)を置いているが、サイドアタックをかけたいリベリと中央でボールを配給するグルキュフは連携しなかった。また、右サイドバックのサーニャ(DF・アーセナル)のオーバーラップも、ボールが回ってこないために報われなかった。
第2戦では、グルキュフを外してマルーダ(MF・チェルシー)を投入したが、マルーダとリベリの役割は重複する上、中盤から前線へのボールの配給が上手くいかなった。
第3戦はシステム以前の問題であったが、今回のW杯の布陣の中ではまともだったように思われる。グルキュフがレッドカードを受けて退場しなければ、少しはまともな試合が見られたかもしれない。

では、今回のW杯は、どのようにすればベストな布陣だったのだろうか。
ジダンは、今回のレブルーについて、「第1戦ではマルーダを犠牲にし、第2戦ではグルキュフを犠牲にした。」と述べていた。
これを踏まえると、おそらくはトップにアネルカ(又はジニャク(FW・トゥールーズ))、左にマルーダ、真ん中にグルキュフ、右にリベリを置くべきだったのだろう。
リベリについては、クラブでの定位置が左であるため、ドメネク監督に対し自らを左に配置してもらうよう直訴したと言われているが、この際にドメネクは、リベリの望みをかなえるのではなく、自らの戦術とその中でのリベリの役割についての理解を求め、リベリを右に配置することを納得させるべきだったのだろう。このようなことは、監督として当たり前にすべきことであり、サッカーチームの監督であれば、どのチームでも普通に行われているだろう。
レブルーの大きな敗因は、監督が当たり前のことを当たり前にやっていなかったことにあると言っても過言ではない。

先日の南アフリカ戦をもって、レブルーはドメネクが采配を振るった約6年間にわたる「悪夢」から開放された。
次にレブルーの舵取りを任されるのは、公式に発表はされていないものの、98年W杯の優勝メンバーであるローラン・ブランに内定している。
ブランは現役時代から、最終ラインからの的確なフィードにより、レブルーの攻撃を組み立てるなど、DFでありながら優れた戦術眼を持っていた。また、ブランはその選手としての実績から、レジェンドとして、若い現役の選手からのリスペクトを十分に集め、束ねる手腕も期待される。

レブルーの新体制が発表されるのは、W杯後であるが、次のビッグタイトルであるEURO2012へ向けた船出に期待したい。
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