試合観戦記(05/4/10: レアル・マドリッド VS バルセロナ戦)

今日はクラシコ。
スタメンは以下のとおり。

バルセロナ

GK:ビクトル・バルデス
DF:ベレッチ
プジョル
オレゲール
ファン・ブロンクホルスト
MF:マルケス
イニエスタ
シャビ
FW:ジュリ
ロナウジーニョ
エトー

マドリーは昨日のとおり。トップ下にはラウール、左サイドにジダンが入りました。


序盤、ペースを掴んだのは、意外にもマドリー。
最前線のロナウドまでもが下がってボールをもらいに行くなど、この日のマドリーはいつになく献身的にボールを追い、スペースを求めた。
決して組織的な動きではなかったが、それぞれが自分の役割を理解し、必死に全うしようとしていた。
そのため、一体感はなくとも、意志統一は感じられた。

ロナウジーニョをグラベセンとサルガドが交替で見張り、エトーはパボンが密着マーク。シャビやジュリには、その都度近くにいる選手が対処した。

バルサのプレスが甘かったこともあり、ボールを支配できたマドリーは、いきな先制点をあげる。
ロベルト・カルロスのサイドチェンジからロナウドがボールをキープし、低いクロスをあげる。長い距離を走り込み、ダイブして頭で合わせたのは、ジダンだった。
ゴールを決めたあと、勢い余って顔をポストに激突させるほど、ジダンは無心で走ったようだった。
前半7分のことであった。

その少し前に、ラウールがプジョルと接触し、右目の横を切って絆創膏を貼っていたため、ジダンとラウールが並んで画面に写ると、絆創膏が目立っていた。
それほどまでに今日のマドリーは泥臭く、気迫のこもったプレーを見せていた。

マドリーは両サイドバックの上がりを控え、じりじりと最終ラインを上げて、スペースをコントロールしていた。中盤のやや高い位置からプレスをかけ、パスコースを塞ぐことにより、バルサの攻撃を遅れさせていた。
そのおかげで最終ラインは、ぎりぎりまで引きつつも、余裕を持って対処できていた。

また、前線と二列目は、ポジションを固定せず、常に流動することにより、どの位置からボールを奪っても、柔軟に攻撃を展開出来た。

このように、マドリーはラインの押し上げにより相手にスペースを与えず、流動的なポジション取りによって、相手のプレスを逃れたことにより、相手にスペースを与えてしまうこと、スペースとボールを求めずに個人技で打開しようとすることという2つの弱点の克服に成功した。

ただ、この作戦が功を奏したのも、バルサが本来の力を発揮出来ていなかったことが大きいと思われた。
シーズン終盤の、蓄積した疲れが見えていたバルサは、マドリーの流動的な攻撃に対し、プレスのかけどころを掴めないようだった。

しかし、そんなバルサも比較的自由に動けるマルケスやジュリにより、何度もマドリーゴールを脅かした。たとえチームが本調子ではなくとも、バルサには1人で試合を決められる選手が何人もいるのだ。

そして、前半20分、ロナウドが得たFKをベッカムが蹴り、ロナウドが頭で合わせ、ゴールを決めた。
「怪物」が甦った。

最近このセットプレーでゴールを決めていたのは、エルゲラだった。そのため、バルサの選手はエルゲラに釣られ、ロナウドとジダンはフリーにされていた。
このように、明晰なバルサ守備陣が簡単に釣りだされてしまうところも、らしくなかった。

その後もややマドリーが押し気味に試合を進めた。
ジダンはプライドをかなぐり捨ててジュリからボールを奪うが、イニエスタに簡単に獲られていた。
しかし、最も目を引いたのは、ベッカムがロナウジーニョからボール奪っていたことだった。ベッカムは、サルガドとポジションチェンジをし、最終ラインまで下がっていることもあった。

やがて前半28分。ついにバルサが反撃に出る。
PA付近で3人に囲まれたエトーが、シャビにパス。エルゲラにつぶされながらもシャビはボールをキープし、前方に走り込んできたエトーにパス、エトーは、飛び出してきたイケルを交わしてゴールに流し込んだ。
今のエトーには、誰にも止められない怖さがあった。おそらくこれが、ピチチ(得点王)の持つ独特の強さなのだろう。

このように、バルサには調子が上がらなくても、個人の力で逆境を跳ね返す底力があった。

これで2-1。

このゴールで目を覚ましたバルサは、流れを掴んだ。
マドリーのパスミスを突き、ボールを奪うと速攻を仕掛ける。
布陣がやや間延びしているため、長いパスで攻撃を展開し、徐々にマドリーの守備を崩し始めた。
あわや同点ゴールかと思われるシュートが何度も放たれた。

しかし、前半ロスタイム、イニエスタからボールを奪い、右サイドからドリブルで上がったロナウドがベッカムへ下げ、ベッカムがダイレクトでジダンへサイドチェンジ。ジダンは自身のコーチングにより前方へ走り込んだロベカルにパスを出し、ロベカルはPAに侵入。中央に流したところをラウールが飛び込み3点目を決めた。ラウールらしいゴールだった。

こうして、前半は3-1でマドリーがリードして折り返した。


後半も、お互い本来の持味や実力を出し切れないながらも、勝者のメンタリティの感じられる見応えのある試合を展開した。

一進一退の攻防が続き、お互い好機を得点に結べずにいた。

この白熱した攻防から一歩抜け出したのは、またもやマドリーだった。

前半20分、中盤での競り合いから、エトーに渡ったボールをエルゲラがボールをカット。こぼれたところをベッカムが前線へロングボールを送る。オフサイドなく抜け出したオーウェンがボールを受け、持ち込み、ゴールへ流した。
必要最小限のパスで決めた、鮮やかなゴールだった。

これで4-1。

しかし、バルサはこれでは終わらなかった。

後半28分、ジュリに替わり投入されたマキシ・ロペスがPA中央手前で得たFKを、ロナウジーニョが驚異的な集中力で直接決めた。
その無駄のない動きから、ボールの弾道を読むのは困難であった。あらためてロナウジーニョの非凡な才能を見せ付けられた。

これで4-2。

ここまで全力を尽くして戦った両者は、明らかに消耗していた。お互いに間延びした布陣を、ただ、気力だけで走っているように見えた。
それでも、最後まで食らい付く姿勢を忘れない好ゲームをみせてくれた。

試合は結局、4-2でマドリーが勝利した。

今回の変則的布陣が勝利をもたらしたというよりは、選手個々の守備意識と、勝者のメンタリティの具備による勝利と思われた。
マドリー不振の原因は、やはりメンタルの低下と最低限の決めごとさえ欠如していたということだったのか。

また、バルサに攻守のバランサーであるデコがいなかったことや、バルサの選手が全体的に本調子ではなかったことも勝因の1つであろう。

しかし、繊細さや華やかさはなくとも、マドリーの選手の鬼気迫るプレーにはひきつけられた。
私見では、マドリーは今季最高の試合だった。

これでバルサとの差は6ポイント。
リーガ制覇へ望みをつないだ。

最後に独断と偏見でベストプレーヤーを選ぶとしたら、パボン、グラベセン、エルゲラ、ベッカム、プジョル、イニエスタ、マルケス、ジュリ。
しかし、今日はピッチ上の全ての選手が素晴らしかった。
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by kobo_natsu | 2005-04-11 10:51 | 試合観戦記