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試合観戦記( フランスVS スイス)

今日はフランス代表の試合を独断と偏見でみてみました。


フランスは優れたテクニックでボールをキープ。中央でパスを回し、右サイドはジュリ(MF・バルセロナ)の俊足、左サイドはドラソー(MF・AC.ミラン)の巧みなドリブルで攻めこむが、中央で待つトレゼゲ(FW・ユベントス)、ヴィルトール(FW・リヨン)にラストパスを供給できない。

対するスイスは、前線からプレスをかけ、ボールを奪ったら速攻を仕掛けるという、非常にシンプルかつ効果的な戦術でフランスを脅かした。
しかし、スイスの攻撃は、フランスの優秀な守備陣により水際で食い止められ、フランスは安定した守りをみせた。

フランスは攻撃の起点となるビエラ(MF・アーセナル)、ペドレッティ(MF・マルセイユ)を抑えられ苦悩していた。
そのため、前線のジュリ、ドラソー、ヴィルトールが代わる代わる中盤に下がったり、中央に絞るなどして、攻撃の組み立てを手伝う。
しかし、この3人の救援部隊の奮闘虚しく、フランスのクロスやシュートはスイスの守備陣に跳ね返され、得点には至らなった。

フランスの選手は、皆勤勉で良く動く。中盤の底でボールを持った選手やボールを奪われた選手に対するフォローが速く、すぐにボールを回復出来る。
しかし、回復したボールを前へつなぐとなると、効果的な動きが出来ない。そのため、パスコースが読まれたり、1人で持ち込んで囲まれるなど、スイスの組織的守備により阻まれてしまうのだ。

おそらくこれは、前線の救援部隊が下がっているため、ボールを奪って速攻を仕掛けても攻めの人数が不足してしまうことによると思われた。
周りに味方がいないため、個人技による突破を図るが、スイスの守備陣に捕らえられてしまうのだ。

攻めの人数が不足していたのは、ビエラ、ペドレッティが、救援部隊を追い越して前のスペースに飛び出せなかったことが原因と思われた。2人は、最終ラインの押し上げがなかったため、彼らの裏の間延びしたスペースを突かれることを恐れていたように見えた。

それほどまでにスイスの攻撃は、切れ味が鋭く恐ろしかった。

また、攻めに人数をかけられた場合でも、ゴール前でボールを回し、相手を翻弄して守備を崩すという、組織的攻撃が出来ないでいた。
これは、ボールを持たない選手がどのように動けばよいのかがわかっていない、すなわち組織としての機能がないことが原因と思われた。おそらく、攻撃の組み立ての全てにおいて明確な決め事がないのだろう。

状況や相手にあわせて、臨機応変に対処できる状況判断能力に、改めてフランスの選手の個々のレベルの高さを思い知らされた。
だが、ボールを持った選手に合わせて効果的な動きをするというオートマティズムの欠如は致命的であった。
オートマティズムは組織力により作られるものである。個人技の高いフランスにとって、今必要なのは、徹底した戦術による組織力であろう。

ただ、フランスは、ジュリの素晴らしい飛び出しやドラソーの精力的な動きにより、何度も好機を作っていたのは確かだ。
あのたくさんのシュートのうち、1つでも決めていれば試合は決まっていたはずだ。しかし、スイスがフランスに対し、ゴール前でボールを持った選手を、決してフリーにしなかった事も事実である。
それほどまでに、スイスは組織として優れていた。

今日、フランスはイスラエルと対戦する。
もう後がない。
by kobo_natsu | 2005-03-30 18:02 | 試合観戦記