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ライブドアとサッカー

ライブドアには、スペイン最大のスポーツ紙・マルカの記事の日本語訳を掲載してくれるコーナーがある。スペイン語が全くわからない私にとっては、貴重な情報源であり、ほぼ毎日のように利用している。

そして昨日、東京高裁は、そのライブドアのニッポン放送の新株予約権の発行差し止めの求めを、実質的に認める決定を出した。

これについての専門家の意見は2つに分かれている。
この決定を妥当とする専門家は、投資家の取り扱いの平等と新規参入者への市場の開放の必要性という観点から、そのように判断したようだ。

確かに、本件新株予約権の発行は、新規参入しようとしたライブドアの支配から逃れるための防御策としてなされたものである。そして、このように、ごく一部の関係者に有利な形で新株予約権を発行することは、現在の日本の法的価値観の中では認められることが難しいとされている。
本件のような新株予約権の発行は、「著しく不公正な」ものとして、差し止めの対象となり得ることが法律に定められているのだ。

ただ、「著しく不公正な」新株予約権の発行でも、会社が事業を拡大するなど、資金調達の必要性がある場合には、認められるケースもあるのだという。
ニッポン放送側は、その「資金調達の必要性」という免罪符を思う存分裁判所に突き付けたようだが、裁判所は首を縦に振らなかったらしい。

しかし、そもそも本件のように、特定の株主を追い出すために行なわれる新株予約権の発行は、たとえ免罪符があったとしても、認められることは困難なのだという。
おそらく、客観的事実だけをみれば、いけ好かない人をのけ者にしていることと何ら変わらないからだろう。

しかし他方で、この高裁の決定を不当とする専門家もいる。
その専門家によると、ライブドアは、株主と言えども、会社の経営方針に口出しできるほどの実質、すなわち放送業への尽力や関心が伺えないため、本件の場合において、支配権を排除されるという不利益から保護されるべき株主に値しないからなのだという。

また、ライブドアがニッポン放送の株を取得するために用いた時間外取引という手法は、証券取引法に抵触するおそれがあるとして、以前から法の不備が指摘されていたのだという。
そして、将来的にこの時間外取引について法規制をするのなら、この手法を用いてライブドアが取得したニッポン放送株の正当性と整合しないことになると、指摘していた。

私は後者の見解を支持する。
なぜなら前者は、新株予約権の発行の可否という形式面だけをとらえているようにしか思えないからだ。

他方後者は、当事者たるニッポン放送とライブドアの関係を踏まえ、実質的な観点から得られた結論であり、丁寧に事案を分析している。そのため、私のような素人でも理解できるものとなっている。

ライブドアが本当にフジサンケイグループと業務提携をしたいのなら、カネにものを言わせた物的関係によるのではなく、直接相手と向き合い、人的関係を築くべきだろう。

マルカの日本語訳という、非常に狭いながらも需要の高いコンテンツに目を付けるアイデアがあるなら、地道に相手と交渉することによっても業務提携をすることは可能であったのではないだろうか。

ただ、ライブドアが単なるマネーゲームに興じているだけなら話は別だが。
by kobo_natsu | 2005-03-24 12:17 | ニュース